今季のJ1第19節・FC東京戦(0-1)から、これまで取り組んできた「ボールを大事にする」(山口智監督)サッカーが実を結び始め、ボール保持率が高まってきた湘南ベルマーレ。自分たちが主導権を握るスタイルを実現したうえで、22節の浦和レッズ戦(3-2)から26節のFC町田ゼルビア戦(1-0)までの5試合を無敗(4勝1分)と、結果もついてきていた。
ただし、27節の柏レイソル戦(1-2)と28節の名古屋グランパス戦(0-1)は、相手の強固なブロックに苦しめられて敗戦。29節のサガン鳥栖戦(2-1)では素早い攻撃をベースに得点を奪い勝利を収めたが、連敗を喫した2試合での課題は無視できない。
5戦無敗の時期で唯一のドローゲームだった25節・アビスパ福岡戦(1-1)を含め、相手のブロックをどう攻略するのか。自陣でのビルドアップの質が向上した湘南の次なる課題は、ファイナルサードでの選手の動きにあると言える。
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攻撃の肝となる両ウイングバックの鈴木雄斗と小野瀬康介も、課題に言及する。
「ゴール前でのアクションが乏しい。ボールを前進させる過程では、空いたスペースを誰が使うのか、どう動くのかという判断がチームとしてすごく良くなってきているけど、敵陣では足りない。たとえば、ボックス付近でサイドから(アンカーの田中)聡にボールが入った時に、相手の背後を誰が取るのか。毎回、誰かが狙いのある動きをしないと、相手のブロックを崩すのは簡単じゃない」(鈴木雄)
「ファイナルサードでの動きが少ないのは感じています。ボールを他の人に預けて『あとは何とかしてくれ』というプレーが多い。僕がサイドから中央にパスを送ろうとしても、選手の動きがなくて出せなかったりもします。躍動感は、良い時と比べると足りないのかなと」(小野瀬)
自陣で相手のプレスをかいくぐっても、ゴール前を攻略できずに得点を奪えなければ、ビルドアップは意味を成さない。湘南がポゼッションサッカーを継続するには、ボールを敵陣に運んだ先の戦い方を成熟させる必要があるだろう。
取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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