人気マンガの実写映画は限られた時間で上映されるため、原作を網羅するのは難しいことが多いです。そこで期待されるのは「続編」ですが、なんらかの事情で制作されないまま長い年月が経っている作品もあります。続編を待つファンの間では、どのような声があがっているのでしょうか。
松山ケンイチの二重人格のような演技が話題となった映画『デトロイト・メタル・シティ』ポスタービジュアル (C)2008「デトロイト・メタル・シティ」製作委員会
【画像】え…っ? 「今見ても『L』はただの本人」 こちらが松山ケンイチが「完全再現」した実写化キャラです(6枚)
原作ではまだまだ序盤だったのに、1作目から早16年
人気のマンガの実写映画化で評価された作品は、原作の完結まで描かれた内容を楽しみたいものです。しかし作品の公開から数年経っても、続編が制作される様子がないこともあります。原作ファンや視聴者が続編を望むものの、実現が難しそうな実写映画には、どのような作品があるのでしょうか。
公開から16年が経過しており続編の望みがなさそうな作品は、2008年に公開された『デトロイト・メタル・シティ』(原作:若杉公徳)です。ポップミュージシャンを目指す純朴な青年「根岸崇一(演:松山ケンイチ)」が、無理やり入れられたデスメタルバンドで「ヨハネ・クラウザーII世(クラウザーさん)」としてまつりあげられ、夢と真逆のテイストの音楽で活躍する苦悩と葛藤がコメディチックに描かれます。
大きなインパクトを残したのは、くねくねとした動きが特徴的で気弱な青年の根岸から、乱暴な言葉やデスボイスで歌うクラウザーさんに豹変する松山ケンイチさんの演じ分けでした。また、ラストで対バンするブラックメタルの帝王「ジャック・イル・ダーク」には、米国のハードロックバンド「KISS」のボーカルのジーン・シモンズさんを起用するほど、キャスティングに力が入っており、当時大きな話題を呼んでいます。
その独特な世界観や再現性の高いキャストの魅力などで、興行収入20億以上のヒットを記録したのですが、今に至るまで続編は制作されていません。映画で描かれたのは原作の序盤であり、その後には根岸が直面する苦境や新キャラの登場など、見どころある展開が待っています。ネット上では、「根岸がデスメタルを始めるきっかけも実写で描いてほしい」「クラウザーI世(北原元気)の実写版も観たい」などの声があり、不完全燃焼で終わっているファンも多いようです。
1作目の興行収入が振るわず続編の制作が困難と考えられているのが、大ヒット長寿マンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(原作:荒木飛呂彦)第4部を実写化した、2017年の映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』です。本作は、主人公「東方仗助(演:山崎賢人)」が、生まれ育った杜王町(もりおうちょう)で特殊能力「スタンド」を使う者による一連の怪事件から、町を守るために戦う姿が描かれます。
CGを使ってスタンドを再現した迫力あるバトルや、スペインでの撮影によって独特な雰囲気の杜王町を再現する工夫などもあり、ファンから不安視されていた本作は意外なほど好評を得ました。しかし、肝心な興行収入は10億に満たない結果に終わっています。
海外ロケに加え、長期にわたる撮影、豪華キャストの起用でかなりの制作費がかかっていることは想像に難くないでしょう。「第一章」というタイトルで、さらに終盤には原作のラスボス「吉良吉影」のスタンド「キラークイーン」の第2の爆弾「シアーハートアタック」が登場していたため、続編を作るつもりだったのは間違いありません。しかし、興行収入の不発で続編の制作はためらわれていると考えられています。
ネット上では「いま活躍中の輝かしい俳優が出演してるから続編が見たい」「吉良吉影の実写が見たいから続編がないのは悔しい」など、7年経過した今でも続編を期待する人もいるようです。メインキャラの多くが高校生ということもあり、もう難しいかもしれませんが、続報が待たれます。
原作ファンからも再現度が好評だった『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』のポスタービジュアル (C)2021「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」製作委員会
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シリーズ化の発表がされているから希望あり?
前作の公開から数年が経過するも、まだ「待ち遠しい」という声が多い実写映画シリーズが『ザ・ファブル』(原作:南勝久)です。本作は休業を命じられた伝説的な凄腕の殺し屋「ファブル(演:岡田准一)」が、「佐藤アキラ」を名乗り、一般人として生活しながらもトラブルに巻き込まれていく物語です。2019年に公開された1作目『ザ・ファブル』は、公開週の映画ランキングにて邦画No.1に輝くヒットを記録しました。
2021年に公開された2作目の『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』でも、各キャストの再現度や、ハイクオリティなアクションシーンに「前作からパワーアップしてる」と多くの視聴者から高い評価を受けています。本作が制作される際には「シリーズ化決定」も発表されており、続編が制作される可能性は高いです。
2作目のアクションシーンが好評だったために、それを超えるクオリティで撮影するとなれば、3作目の制作に長い時間がかかることも考えられるでしょう。
原作ファンの間では、「2作目の『宇津帆編』から大きく物語が動き出すし見せ場もたくさんある。ぜひとも映画化してほしい」「2時間じゃ足りなさそうだから前編と後編の2部作になりそう」など、今後の展開の実写化を楽しみにする声や、映画の構成を予想する声があがっています。『ザ・ファブル』のアニメ版も好評の今、第3部の制作が発表されれば、盛り上がることは間違いないでしょう。
※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」が正しい表記