Amazonファーマシーの登場で「薬局は今より減って薬剤師が大量に余る」は本当か? 処方箋のオンライン販売化の是非

Amazonファーマシーが広まることで薬局の裁量が小さくなる可能性も

薬剤師として薬局を経営する熊谷氏は、Amazonファーマシーに対して感じる“脅威”についてこう語る。

「この新サービスに対応する薬局は、Amazonファーマシー側に処方箋1枚あたりの仲介料を支払うことになっているようです。今後オンライン処方の需要が増えていけば、Amazonファーマシーは業界大手として、こうした仲介料の相場などの業界水準を作っていく立場になり、制度設計に影響するほどの大きな力を持つでしょう。

そうなると薬局側は言われるがまま。裁量は小さくなり、現在より利益も減少していくのではないかと危惧しています」

では薬局は、今後迎えるかもしれない危機をどう乗り越えるべきなのだろうか。

「現在多くの薬局では、冒頭で説明した『門前薬局』のビジネススタイルが主流となっていて、保険医が交付した処方箋に基づき保険薬剤師が薬局で薬の調剤を行なう『保険調剤』がメインの事業となっています。

しかし今後は保険調剤がオンライン処方にシェアを奪われていく可能性があると考えると、保険調剤以外の収益の源となる事業を見つけなければ、薬局が生き残ることは厳しいのではないかと思います」

「保険調剤に偏重している現状のままでは、薬局としての意義が薄れていく一方である」と語る熊谷氏。しかし薬局が既存のビジネスモデルに依存している現在、新たなビジネスを開拓することは容易なことではないともいう。

Amazonファーマシーの登場は想像以上に薬局や薬剤師たちに大きな影響力を与えていたが、今後この新サービスがどのような生活の変化をもたらすのか引き続き注目していきたい。

取材・文/A4studio/瑠璃光丸凪 サムネイル/Shutterstock