『THE W』で気づいた「まわりは敵ではなく仲間」
──今後の展望について聞かせてください。賞レースにも挑戦しますか?
はい。去年の『THE W』が、本当に久しぶりの賞レースだったんですよ。NGK(なんばグランド花月)やルミネ(theよしもと)に漫才で立たせてもらうときの10分尺に慣れていたので、いきなり1人で、しかも予選の2分尺には戸惑って。で、予選に行ってみたら、空気が予想とぜんぜん違ったんですよ。
──どう違ったんですか?
私がM-1に参加していたころは、まわりが全員敵で、そのなかでどう生き残っていくかという感じだった。ギスギスしていて、誰かがウケてたとか、決勝(進出)確定とか聞いたら素直に喜べなかったんです。
でも、THE Wの予選会場はすごく和気あいあいとしていて、みんな「すごいよかったよ!」「ウケてたよ!」とお互いを認め合いながら戦ってた。最初、それが信じられなくて。「いやいや、敵のこと喜んでるけど、もしこれで自分落ちてたらどうすんの?」と思ってたんですよ。
出典: FANY マガジン
──馬場園さんが組んでいたアジアンがM-1決勝に進出した2005年ごろは、とくにバチバチ感があったように思います。
本当に。だから人を称えるとか、認めるとか、本当に意味わかんなくて。でも、THE Wの予選が進むほどに、まわりは敵じゃないとわかって、自分が恥ずかしくなったんです。
みんな、自分自身と戦ってるんですよ。自分のなかで高みを目指している。まわりは先輩・後輩関係なく、それぞれ高みを目指す仲間なんです。それはTHE Wで気付かされたことでした。この芸歴になって、初めてそう思えました。
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自分自身と向き合う単独ライブ
──お互いを称え合う空気感は『THE W』だから、というのもあるんでしょうか?
いまの時代はM-1、キングオブコント、R-1、どれもみんなそういう感じなんじゃないかな。でもやっぱり、むかしから女性芸人はひとくくりにされることも多いから、とくに仲間意識は強いんじゃないかなと思いますね。
──馬場園さんがお笑いを始めた時期は、女性の芸人さんの数も、いまよりずっと少なかったと思います。
まさに男社会でした。「女芸人」と言われるのがすごくイヤでしたし、男女で分けるんじゃなくて、面白いかどうかで分けてくれよと思うくらいトガッてました。だから、「男を超えたいんだ、漫才でいちばんになりたいんだ」と常に戦う姿勢が当たり前になっていたのかもしれない。
出典: FANY マガジン
いままでの自分を全否定したくはないので、そんな過去もいい経験だとは思います。あのころのM-1があったからこそ、漫才を突き詰められたとも思うし。だけど、M-1のせいで壊れたこともいっぱいあるとは思いますね。だからなおさら、いまの環境がすごく温かいものだと思える。
だから単独ライブも、いままでだったら戦う武器を磨くためのものだった。でも、いまは自分自身と向き合うものになっている気がします。そうやって新鮮な気持ちで第3回の単独ライブにも取り組んでいけたらと思います。