第2期ウルトラシリーズは「ウルトラファミリー」という設定が生まれ、ファミリーのウルトラ兄弟たちが何度も客演しました。最終作である1974年『ウルトラマンレオ』では、「セブン」の「モロボシ・ダン」のレギュラー出演が決定します。しかし、登場したセブンには明らかな欠落があったのです。
ウルトラファミリーも描かれた『ウルトラマンレオ』DVD10巻(DIGITAL ULTRA PROJECT)
【画像】え…っ? 「大事なものがなくなってた?」これが『ウルトラマンレオ』に登場した「ウルトラセブン」です
レオではレジェンド「セブン・モロボシダン」がレギュラー出演!
1974年から放送が始まった『ウルトラマンレオ』は、『ウルトラセブン』の主人公「モロボシ・ダン」がレギュラー出演することで話題を呼びました。しかし、第1話の冒頭シーンでは、とある痛恨のミスがあったのです。
そして『ウルトラマンレオ』は思ったような視聴率を出せず、第2期ウルトラシリーズは終了となってしまいました。『ウルトラマンレオ』以前から、ウルトラ兄弟の客演時には兄弟のビジュアルに時折異変が見られ、それがファン離れを起こした原因のひとつになっていたようです。
『ウルトラマンレオ』第1話「セブンが死ぬ時!東京は沈没する!」の冒頭、「レッドギラス」、「ブラックギラス」の双子怪獣とセブンが戦う場面では、セブンに「耳」がついていませんでした。このことは「ウルトラ特撮PERFECT MOOK vol.9 ウルトラマンレオ」(講談社)内の、フリーデザイナーの野中剛氏のコラム「円谷AGEの眼」でも指摘されています。
野中氏は当時小学校3年生だった自身を振り返り、「『ウルトラセブンの耳がないまま撮影しちゃうこの番組のスタッフは、なんて無責任なんだ』という。許されざる重罪に思えたのです」と語っていました。すでに前作『ウルトラマンタロウ』でも視聴する機会が減り、『ウルトラマンレオ』では、さらに視聴習慣が薄れていったそうです。
1971年『帰ってきたウルトラマン』からの第2期ウルトラシリーズでは「ウルトラ兄弟」、1972年『ウルトラマンA』では「ウルトラの父」が登場し、「ウルトラファミリー」という設定が生まれています。困った時のファミリー頼みなのか、視聴率の安定のためにひんぱんに客演が繰り返されました。
ただ、野中氏も指摘しているように、第2期ウルトラシリーズの客演時のウルトラ兄弟にはいくつか異変が見られました。耳なしのセブンは、すでに『ウルトラマンタロウ』第40話「ウルトラ兄弟を超えてゆけ!」にも登場しています。こちらは『ウルトラセブン』放送時の名場面が流れているので、余計に違いがハッキリした状態です。
さらに、第52話「ウルトラの命を盗め!」に登場した『帰ってきたウルトラマン』の「ウルトラマンジャック」は、なぜかグローブとブーツが赤色になっています。こちらではジャックが怪獣「ドロボン」にカラータイマーを抜き取られると、まるでビニール製の人形の空気が抜けるようにしぼんでいき、よりチープさが増しました。
このように違和感のある兄弟たちが登場して、ファンを喜ばせるつもりが、逆に失望させることになり、ファン離れを引き起こしていたのかもしれません。
歴代ウルトラマンのスーツはイベントにも使われていたので、パーツの破損や紛失が多かったようです。そのためにいざドラマの撮影になっても、オリジナルと違うウルトラ兄弟が数多く登場することになりました。第2期シリーズを終了に追い込んだのは、意外にも「シリーズで定番化していた兄弟の客演が原因だった」と言っても過言ではないでしょう。
そして、『ウルトラマンレオ』の最終回「恐怖の円盤生物シリーズ! さようならレオ!太陽への出発」では、レオである「おおとりゲン」の夢のなかにセブンが登場します。そのセブンは耳こそありましたが、耳の下の首から肩までのパーツが、これまでのセブンと違うビジュアルになっており、違和感がありました。結局、最後まで客演時のウルトラファミリーの違和感は、消えることはなかったのです。
それでも、第1期ウルトラシリーズを知らない『レオ』世代の子供たちにとっては、光線や武器を使えないレオがモロボシ隊長の鬼の指導の下に、命がけの特訓で怪獣に立ち向かう熱血でかっこいい姿はいつまでも記憶に刻まれています。