1986年から連載スタートした少女マンガ『ぼくの地球を守って』は、現在でもその次世代編が連載されているほど、人気の作品です。前世でつながっている亜梨子と輪のふたりは、9歳の差を乗り越えて結ばれたのでしょうか?原作マンガとアニメ、両方の恋の結末を振り返ります。
『ぼくの地球を守って』第1巻 著:日渡早紀(白泉社)
【画像】どんな顔してたっけ? こちらは亜梨子と輪の前世です(3枚)
前世から続く、9歳差の恋の結末は?
2024年に50周年を迎えた「花とゆめ」に掲載されていた『ぼくの地球を守って』(通称:ぼく地球)は、高校生の「坂口亜梨子」と、小学生の「小林輪」のSF恋物語です。彼らは、同じマンションのお隣さんでした。そして、亜梨子の前世は生物学者の「木蓮」、輪の前世はエンジニアの「紫苑」で、木蓮と紫苑は恋人同士でもあります。
※この記事には『ぼくの地球を守って』の終盤の内容を含みます。
前世の記憶も手伝って、輪は亜梨子に好意を持っていますが、ふたりにはなんと9歳も年の差があります。亜梨子と輪は、最終的に結ばれたのでしょうか?
※この記事は『ぼくの地球を守って』のネタバレを含みます。
物語終盤で、輪は自分自身と紫苑との間で苦しみ、紫苑たちのいた月基地を爆破するか、地球上の植物をコントロールするかで葛藤していました。亜梨子は月基地の爆破を手伝い、輪の心を助けようとします。輪は葛藤しながらも、月基地の自爆装置を動かそうとしますが、作動しません。
月基地には、自爆装置のほかに「黒聖歌によって、地球上の植物をコントロールする装置」があるはずでした。それは、病で少しずつ仲間を失い、愛する木蓮をも失った紫苑が発狂して作ったもので、輪はそれごと月基地を爆破するつもりでした。
しかし紫苑が月で作ったものは、植物のコントロール装置ではなく「聖書(キサナド)を歌う木蓮の姿を映す、立体映像装置」だったのです。映像装置の歌の力で、月には植物が生い茂っていたため、自爆装置も作動しませんでした。木蓮の歌は、地球を守っていたのです。それに気付いた輪は、気を失います。
10日ほど眠っていた輪ですが、病院で目を覚ますと、亜梨子に「大好き」と告げられます。ふたりは、年の離れた恋人になったのでした。後日、輪は海辺で亜梨子に「じゃ 結婚しよーか 今すぐ」とプロポーズします。地球の記憶と未来に想いを馳せつつ、物語は幕を閉じました。
アニメ版での終わり方
アニメ版は全6話のOVAです。内容は原作マンガの途中までで、独自の終わり方を迎えます。最終6話では、超能力者である「未来路」や、「秋海棠」の生まれ変わりである「春彦」との戦いで重傷を負った輪が、前世の夢を見ます。そして仮親の「ラズロ」や珍獣「キャー」との日々を思い返しました。
さらに、神である「サージャリム」の絵や、死にゆく木蓮の言葉「決して、自ら命を絶たないで」などを思い出します。夏に咲いた桜や、亜梨子の額に現れたキチェ、ベランダから落ちた輪を助ける木蓮など、さまざまなシーンが走馬灯のように流れるのです。
最後には、「海へ行こう、亜梨子」という輪のナレーションのもと、輪と亜梨子が海へ行き、海辺で遊んでいるシーンで幕が閉じました。紫苑と木蓮の別れのシーンは断片的に見られるものの、輪と亜梨子のその後や、さまざまな伏線の真実は特に明かされず終わります。
前世ブームを巻き起こした名作は、現在も連載中
原作マンガでは、輪と亜梨子が結ばれた後、「一成」と「桜」の婚約や「迅八」の進学など、それぞれのその後が少しだけ描かれました。さらに、その次世代を描く『ボクを包む月の光』が、全15巻でリリースされています。そして、その続編である『ぼくは地球と歌う』も現在連載中です。
壮大なSFストーリーが根強い人気を誇っており、当時は「前世ブーム」が巻き起こりました。あまりの人気に、日渡先生みずから「この作品はフィクションです」と注意書きをする事態になったのだとか。令和のいま読んでも、その魅力はきっと読者を虜にしてくれるでしょう。