久々に、生き生きと躍動する姿を見た気がした。
中国代表に7-0の大勝を飾った9月5日の北中米ワールドカップ・アジア最終予選・第1節で、久保建英は3-4-2-1の右シャドーでフル出場。12分にCKから遠藤航がヘッドで決めた先制ゴールをアシストすると、77分にも伊東純也の復帰弾をお膳立てする。
さらに、後半アディショナルタイムには左足の強烈なシュートでネットを揺らし、1ゴール・2アシストの活躍を見せた。
埼玉スタジアム2002のピッチで輝きを放った23歳は、しかし加入3年目を迎えた今シーズンのレアル・ソシエダでは、本来のパフォーマンスを発揮できていない。
チームは格下相手に1勝1分け2敗と開幕ダッシュに失敗。主力の退団やコンディション不良などで低空飛行が続くなか、久保にはこれまで以上にマークが集中し、その中でチャンスを構築してもフイになるシーンも少なくなかった。
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そんな状況にもかかわらず、第2節のエスパニョール戦ではよもやのベンチスタート。途中出場で意地の決勝点を叩き込んだものの笑顔はなく、駆け寄ってきたチームメイトを跳ねのけて、耳に手を当てて、「見たか」と言わんばかりのポーズを決めたゴ―ルセレブレーションも話題となった。
汚いファウルで突破を止められ、相手選手やイエロカードを出さないレフェリーに苛立つ場面も増えた。フラストレーションを溜めながらプレーしているのは明らかだった。
かたや、日本代表ではまるで別人のように楽しんでプレーしている印象を受ける。久保自身にそのあたりを聞いたところ、こう本音を語っている。
「今回の代表に来てみて、相手のレベルも違いますし一概には言えないんですけど、やることが減るというか、やりたいことばっかりをやっていたこの前の試合(中国戦)だったと思うので、そういった意味では、楽しかったかと言われたら楽しかったですね」
その言葉通り、相手のレベルの違いはあるとはいえ、縦横無尽に攻撃を牽引する様から、気持ちよくプレーしているのは明白だった。そうした姿を見ると、悲壮感が漂っているソシエダでの現状にやや胸が痛くなってしまう。
本人は「(クラブと代表は)別物だと思う」と言いつつも、「このままいい感じで終われたら、それをまた今度はチームに持ち帰って、いい雰囲気を伝染させられたらなと思います」とも語っていた。
ソシエダの浮上には、このエースの輝きが不可欠。日本代表での活躍が、そのきっかけになればと願う。
取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)
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