〈解散のXデーは10月11日か〉総選挙は“エッフェル姉さん”補選直後の「11月10日投開票」説が有力? 超強気日程の背景には立憲の体たらくも…「総裁選で進次郎氏が勝てば自民は地滑り的勝利まである」

「時代は『誰』を求めるか?」東京・永田町の自民党本部には、まるでどこかの広告代理店が仕掛けたような仰々しいコピーが躍る垂れ幕がたなびいている。「THE MATCH」と銘打たれた自民党総裁選は候補者が乱立、メディアの注目も集め、いまのところ自民党の”思うつぼ”といったところか。これに乗じて「新総裁が決まったらすぐに解散総選挙に踏み切る」ともっぱら。永田町では早くも本格的な選挙風が吹き始めた。

投開票は11月10日か

「解散は10月11日で確定だ。選挙に向けて本格的な準備を始めている事務所もある」

9月初旬の某日、ある自民党議員のベテラン秘書がこう耳元で囁いた。さらに手元のスマートフォンの画面を示し、こう続けた。

「これが党内で共有されている今後の政治日程だ。情勢次第で微調整はあるだろうが、基本的にはこのスケジュール通りに動くとみて間違いない」

秘書を含む複数の関係者に取材を重ねると、自民党が想定する「10.11解散」に向けたシナリオが見えてきた。

これによると、9月27日の総裁選で新しい総裁が決まれば、直後の30日に自民党は党の役員人事に踏み切る。臨時国会召集と首班指名、つまり首相の指名は10月4日を想定し、組閣を経て10月7日に新首相の所信表明演説が行われる見込みだという。

そして、岸田文雄首相の後を継ぐ新首相が、10月9日から衆参両院の本会議での代表質問に臨み、2日後の11日に衆院解散を表明するというのが一連の流れだとされる。

では、選挙はいつになるのか。想定されるシナリオについて、前出の秘書が解説する。

「今、いわれているのは、『10月29日公示』『11月10日投開票』の日程だ。噂されていた参院議員補欠選挙とのW選挙は避けた格好になる」

ここで指摘されている「参院議員補欠選挙」とは、公設秘書給与の不正受給が発覚した広瀬めぐみ参院議員の辞職に伴う参議院岩手県選挙区の補欠選挙のことを指す。

 「もともと岩手は立憲民主党の実力者で『壊し屋』の異名を持つ小沢一郎氏の影響力が今も残る地域だ。広瀬氏はそんな『小沢王国』で、自民党公認候補としては30年ぶりに議席を得て期待が寄せられていた。

ところが、週刊誌に外国人男性との『赤ベンツ不倫』がすっぱ抜かれ、秘書給与の問題も発覚。自民党にとっては、せっかく奪還した議席を最悪な形で失ってしまった」(全国紙政治部記者)

自民党は今年4月に東京15区、島根1区、長崎3区で行われた衆議院補欠選挙で全敗したが、苦戦が予想された今回の補欠選挙でも独自候補の擁立を見送った。

こうした背景もあり、自民党内では独自候補を立てられない参院補選でのイメージ悪化によるダメージを抑えるため、当初は衆院総選挙を10月15日公示、10月27日投開票の参院補選と同日にする「W選挙」とする日程案を「模索していた」(前出の秘書)というのだ。

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進次郎氏勝利なら地滑り的勝利?

しかし、想定されている「10.11解散」を前提としたスケジュールでは、“不戦敗”参院補選の後に設定されている。ある意味、この強気ともいえる政治日程を打ち出した背景には何があるのか。

「なんといっても最大野党である立憲民主党のひどい体たらくがあげられる。立憲は、7月の東京都知事選で支援した蓮舫氏が予想外の大敗を喫したショックが尾を引いており、自民党総裁選とほぼ同時期に行われる立憲の代表選も盛り上がりに欠ける。

そもそも、代表選の立候補者の顔ぶれが悪い。消費増税をぶち上げて解散に踏み切り、民主党下野の戦犯となった野田佳彦氏や前代表の枝野幸男氏が名乗りを上げている時点で新味に欠ける。

自民党は、共産と連携した都知事選敗北のショックもあり、野党間のまとまりにも欠けている今なら『参院補選の敗北もさほどの悪影響を及ぼさない』と判断したわけだ」(前出の秘書)

もうひとつは、”新総裁候補”の予想以上の人気ぶりだ。

「現状は小泉進次郎氏が頭一つ抜けており、国民的知名度が高い石破茂氏が二番手に付けているという状況だ。このまま若くて国民人気のある進次郎氏が新総裁に選ばれれば、総選挙でも十分戦えるという手ごたえが自民党にはあるのだろう。それどころか地滑り的勝利を収めてしまうかもしれない」(前出の政治部記者)

 年末に向けて永田町に大嵐が吹くのは間違いなさそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班