意外すぎ!カエルとは「マブダチ」だった?

ザマニ氏らはタランチュラと同じ生息環境にいる他の生物たちとの関係も調べたところ、驚くべきことに、カエルとは非常に友好的な交流を楽しんでいること多いと判明したのです。

チームは世界10カ国における60件以上のタランチュラとカエルとの相互作用を調べ、お互いに恩恵を受け合っていることを特定しました。

ザマニ氏によると、カエルはタランチュラの巣穴に逃げ込むことで、天敵から身を守るためのシェルターとして利用していたといいます。

一方でカエルはその見返りとして、タランチュラの巣穴や卵、子供にとって有害な害虫を食べていたのです。

タランチュラの方もカエルの存在を認めており、すぐ側にいても襲うことなく、友好的に共生していました。

中には巣穴の中でタランチュラとカエルが身を寄せ合っている姿まで見つかったのです。

その様子はもはや「マブダチ」と言えるものでした。


Credit: University of Turku(2024), canva

ザマニ氏はこの結果を受けて「タランチュラは一般に評判されるほど、恐ろしくもないし脅威でもないようでした」と話しています。

タランチュラはそのイカつい見た目から凶暴で毒々しいイメージを持たれがちです。

サスペンス映画などでは度々、タランチュラが殺人用の毒蜘蛛として使われるケースがあり、そのせいで人々に恐ろしいイメージを与えるようになりました。

しかし専門家によると、タランチュラは確かに毒を持つものの、人に害を及ぼすほどの毒性はまったくなく、これまでにタランチュラの毒で死亡した例も知られていません。

またタランチュラには大人しい種が多く、それも手伝ってかペットとしても人気が高いです。

彼らの見た目が怖いのは確かですが、心根は優しいのかもしれませんね。

参考文献

Tarantulas have surprising partnerships with other species and their hairiness may be a defence mechanism
https://www.utu.fi/en/news/press-release/tarantulas-have-surprising-partnerships-with-other-species-and-their-hairiness

We now know why tarantulas are hairy — to stop army ants eating them alive
https://www.livescience.com/animals/spiders/we-now-know-why-tarantulas-are-hairy-to-stop-army-ants-eating-them-alive

元論文

An extensive review of mutualistic and similar ecological associations involving tarantulas (Araneae: Theraphosidae), with a new hypothesis on the evolution of their hirsuteness
https://doi.org/10.1080/00222933.2024.2382404

ライター

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。

編集者

ナゾロジー 編集部