大人気格闘マンガ『刃牙』シリーズに登場する地上最強の生物「範馬勇次郎」は、圧倒的な実力とキャラの濃さで、多くの人気を獲得しています。そんな人気キャラである勇次郎の魅力のひとつが、インパクト抜群の顔芸です。



『バキ』13巻より(秋田書店)

【画像】え…っ? 「ギンッじゃねーよ(笑)」「怖いけどカワイイ」 こちらが大人気の「勇次郎の顔芸」です(9枚)

個性が強すぎる勇次郎の顔芸

 大人気格闘マンガ『刃牙』シリーズはバトル描写だけでなく、個性豊かなキャラたちが見せる表情の面白さも、大きな魅力のひとつとなっています。そのなかでも、作中屈指の人気キャラである「範馬勇次郎」の「顔芸」の存在感は別格です。

 本編を呼んだことがなくても、ネットミームとしてコマの画像を見たことがある方は多いでしょう。LINEスタンプになっている表情も多々あります。

 3部『範馬刃牙』の原人「ピクル」に対面するために、顔面で強化ガラスを割って入る場面や、4部『刃牙道』で「本部以蔵」に「守護る」と言われて涙を流しながらブチギレたシーンなどが、特に勇次郎の顔面が強烈だと有名です。また、もう少し控えめな表情の場面でも、名ゼリフとともに読者にインパクトを残したコマがありました。

 有名な勇次郎の顔芸では、第2部『バキ』で名言とともに飛び出した「アドバイス顔」があります。勇次郎の息子であり主人公の「範馬刃牙」は、恋人の「松本梢江」と同じ布団に入り、下着姿で後ろから抱きつかれますが、緊張して手を出すのをためらっていました。そして、いざ勇気を振り絞った刃牙が梢江に向き直ると、視線の先には勇次郎が不敵な顔で仁王立ちしていたのです。

 戸惑う刃牙に対して、勇次郎は勇ましい顔つきで「強くなりたくば喰らえ!!!」と発破をかけます。この時の勇次郎の顔芸自体は、数ある彼の顔芸のなかで飛び抜けたものではありません。しかし、「地上最強の生物」と呼ばれる勇次郎が、息子の情事を覗き見て、さらには直接現れてアドバイスしている状況を考えると、特大のインパクトを受けます。

 同じく第2部『バキ』の中国武術界最強の「海皇」を決める大会「中国大擂台賽」でも、勇次郎が見せは「アドバイス顔」を見せました。大会は、1回戦で中国勢の負けが多いことに怒った中国拳法界の頂点の人物「郭海皇」の提案で、中国vs日米連合の対抗戦に変更されます。

 対抗戦の先鋒戦は、日米連合から圧倒的な筋肉量が生み出すパワーと耐久力が特徴の「ビスケット・オリバ」、中国からはハンドポケットから最少最速で拳を繰り出す抜拳術の達人「龍書文」が登場しました。そして、龍書文の抜拳術に、技で対抗しようとして翻弄されるオリバを見た勇次郎は、白目をむいて髪を逆立て、「競うな 持ち味をイカセッッ」と叫んだのです。

 とてもアドバイスをしているとは思えない、勇次郎の顔芸に思わず笑ってしまう場面でした。しかし、傍若無人を絵に描いたような勇次郎が、チームメイトを応援する姿に驚いた方も多いのではないでしょうか。また、「競うな 持ち味をイカセッッ」というアドバイスは、格闘技以外のジャンルでも活かせるため、ネット上には「刃牙のセリフのなかで一番好き」「勇次郎の発言としては一番まとも」という意見もありました。

 第2部では、多くの勇次郎の顔芸が登場していますが、第2部最終巻である31巻にはさらに素晴らしい顔芸が存在します。伝説のボクサーである「マホメド・アライ」の息子「マホメド・アライJr.」と戦った刃牙は、アライJr.を瞬殺して強さを誇示すると、観客席にいた勇次郎に「親父、俺と闘ってくれ」と語りかけました。

 刃牙の言葉を受けた勇次郎は、「ニィヤァ~……ッッ」と実に嬉しそうな笑みを浮かべると、その直後に「ギン」という擬音とともに目を見開きます。多くの顔芸を見せてきた第2部ですが、この一連の顔芸は別格ともいえる迫力と面白さがありました。とくに「ギン」のコマに関しては、一度見たら忘れられないほどの衝撃で、ネットミームとして広く使われており、勇次郎の代表的な顔芸になっています。

 また、第3部『範馬刃牙』では、「無表情」の勇次郎も話題になりました。第3部では、『刃牙』シリーズの集大成とも言える刃牙と勇次郎による「地上最強の親子喧嘩」が行われます。そして、「親子喧嘩」だったため、急所などを狙わずにいた刃牙に対して、勇次郎はお仕置きと称して「鞭打」を見舞いました。

 手足を鞭のようにしならせて攻撃する鞭打は、皮膚を攻撃対象にしており、あらゆる人体の耐久力を貫通するため、「痛みを与える」という点に関しては作中最強の技です。その鞭打を食らい、悲鳴を上げてのたうち回った刃牙は、仕返しとばかりに勇次郎に対して鞭打を放ちました。

 それを真っ向から食らった勇次郎ですが、刃牙のように痛がらず、「無表情」を貫きます。しかし、それは普通の無表情ではなく、全身の血管と筋線維がむき身のように浮き出た人間離れした無表情でした。勇次郎は全身の筋肉を駆動し、全身運動の苦痛によって鞭打の痛みを分散していたのです。

 作中では、この無表情に対して「かろうじて無表情を保持していた」と説明が入りましたが、ネットでは「これほんとに無表情?」「こんなビキビキになってたら我慢してるのわかるやろ」「ここまでしなきゃいけないほど刃牙の鞭打が痛かったのか」など、多くのツッコミがはいっていました。勇次郎ならではの怖すぎる無表情は、多くの読者の記憶に刻まれたことでしょう。

『刃牙』シリーズの最新連載である第6部『刃牙らへん』でも、勇次郎はもうひとりの息子「ジャック・ハンマー」相手に過去の顔芸を踏襲した顔芸を披露するなど、新しい表現を見せています。今後も彼の見せる顔芸から目が離せません。