アンドロイドとサイボーグは、1960年代から日本のアニメや特撮ではお馴染みの存在でした。両者の違いは何なのか、アンドロイドやサイボーグが物語に必要とされる理由は何なのか、そして代表的なキャラクターは誰なのかを振り返ります。
TVアニメ第1作は1968年放送開始。「サイボーグ009 1968 DVD-COLLECTION」(東映ビデオ)
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アンドロイドとサイボーグの違いとは
「アンドロイド」と「サイボーグ」は、昔のアニメを観ているとしばしば登場する単語です。両者ともに機械仕掛けの体を持つことは変わりませんが、アンドロイドは完全な機械であり、サイボーグは人体を改造して機械化した点で大きな違いがあります。
サイボーグに関しては、石ノ森章太郎先生の『サイボーグ009』が原点にして今なお最先端の作品と言えるでしょう。1964年に最初のマンガの連載がスタートした『009』は、石ノ森先生の他界後も長男である小野寺丈氏をはじめとする多くのクリエイターの手により継続して作品が作られており、2024年現在はマンガ最新作『サイボーグ009 太平洋の亡霊』が「チャンピオンRED」誌に掲載されています。サイボーグの名を知らしめた名作として、これからも『009』は愛され続けることでしょう。
また、松本零士先生の『銀河鉄道999』も、サイボーグを取り扱った名作のひとつです。主人公の「星野鉄郎」は機械の体を得るため、「メーテル」と共に旅に出ますが、道中で多くの出会いと別れを経験し、命の大切さを知るようになります。さらに、永遠の命を得たはずの機械人間たちが目標を失い自殺する光景など、機械化は人が目指す理想ではないことを知った鉄郎は、最終的に機械の体にはならないと決断しました。永遠を棄てることへの葛藤を余さず描いた『999』もまた、不朽の名作であることに間違いはありません。
『攻殻機動隊』もサイボーグ(義体)が登場する作品としては欠かすことができません。脳と脊髄以外が義体の凄腕ハッカー「草薙素子」は、先日亡くなられた演者である田中敦子さんの演技もあり、創作史上に名を残す存在となっています。ほかにもほぼ全身義体の「バトー」は愛用の「タチコマ」に天然オイルを与えたり、拳銃に一家言(いっかげん)あったりと、機械化されても人の精神を持ち続ける存在として描かれました。
「ロボット」表記ながら、おそらくもっとも広く知られる「アンドロイド」だろう。「DVDシリーズ『手塚治虫アニメワールド』 鉄腕アトム Complete BOX 1」(日本コロムビア)
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さまざまな作品に登場する女性型アンドロイド
アンドロイドについては、厳密に言えば「動きや外観が人と見分けがつかないほど精巧に作られた人間型ロボット」と区別されているのが特徴です。ほかにも「人造人間」「ヒューマノイド」「オートマトン(オートマタ)」など複数の呼ばれ方や定義が存在しており、多くの創作作品に登場しては印象的な存在として扱われています。
それぞれ数多くの代表的キャラクターが存在しており、アンドロイドについては、ロボット表記ではありますが、日本初の30分TVアニメ『鉄腕アトム』の主人公である「アトム」が筆頭格のキャラクターといえるでしょう。
「天馬博士」に製作されたアトムは博士の息子の「飛雄」に似せて作られており、人間と同等の感情と優秀な能力を持つロボットでしたが、ロボットは子供のようには成長しないことに気付いた博士によりサーカスへ売り飛ばされてしまいます。後に、ロボットにも人間と同等の権利が与えられるなど、手塚治虫先生がマンガを連載していた1950年代の時点で、現代でも解決が難しい「機械に対する人権」へ目を向けていたことに驚かされます。
「アトム」以降60年以上の歴史があるマンガ、アニメ界隈のアンドロイドは、女性キャラとして人気が出やすい存在でもあります。『キューティハニー』の「如月ハニー」や『ちょびっツ』の「ちぃ」、『ToHeart』の「HMX-12 マルチ」に『ゼノサーガ』シリーズの「KOS-MOS」、『NieR:Automata』の「2B」など、数え上げればキリがありません。また、松本零士先生の『セクサロイド』など多くの作品で、「生身の女性の代替」として使用されることもあるのがアンドロイドの特徴のひとつです。
おそらくこれからも、多くの作品で作者が知恵をひねったアンドロイドが登場し、人気を博すのでしょう。