【GLEAT】中嶋が船木迎撃へリンダマン、伊藤、飯塚と合同練習 LIDET UWF勢の反発歓迎 「もっとプライド表に出せ」

 LIDET UWF世界王者・中嶋勝彦が10日、東京・大久保のGENスポーツパレスでエル・リンダマン、伊藤貴則、飯塚優と合同練習を行った。

 中嶋は7・1TDC大会で伊藤を破ってLIDET UWF世界王座を奪取。8・21後楽園大会ではリンダマン、伊藤、飯塚と1対3ハンディキャップマッチで対戦し、敗れはしたものの「共に戦ったあの3人にしかわからない、そして俺にしかわからないこの感情があった」と手を取り合った。

 同大会では船木誠勝が電撃来場し、「闘魂スタイル、これでいいんですか? LIDET UWFこんなもんですか? せっかく見に来たのにガッカリしました」と中嶋とLIDET UWFを酷評。10・6大阪大会でLIDET UWF王座をかけての対決が決まり、9・29名古屋大会では中嶋が伊藤、船木が橋本大地とそれぞれ組んでの前哨戦が組まれた。

 この日、中嶋は2大会へ向けてリンダマン、伊藤、飯塚とともに合同練習を行った。“LIDET UWFを盛り上げる”が4人の共通意識。後楽園大会での和解劇を「リング上で手を差し伸べてくれた。お互いにUWFを盛り上げたいという気持ちがたぶんつながった瞬間だと思うし、そこは変わってないと思う」と解釈している中嶋はともに汗を流すことで、その思いをより強固とする狙いがあった。

 合同練習は1時間30分に及んだ。中嶋は映画『ロッキー3』でライバルのロッキー・バルボアに手ほどきしたアポロ・クリードそっくりのいでたちで登場。まずはスクワット、プッシュアップ、ブリッジなどでじっくりと体をほぐし、その合間にも中嶋のアドバイスやゲキが飛んだ。

 そして実戦的な練習に入ると、中嶋が取り入れたのは、LIDET UWFルールではめったにお目にかかれないロックアップ、ヘッドロック、ショルダータックルというプロレスの基本の動き。「戦いでしょ。同じ。何も変わらない。唯一違うのはルールってだけでしょ。何も変わってないよ。戦いの本質は俺はあれだと思ってる」との考えからだった。

 その中で中嶋が「腹に力入れろ!」とリンダマンにボディブローを見舞って、その場の緊張感が増した。「真面目にやれって言ってんだ! ナメてんのか?」と中嶋の怒声が飛ぶと、リンダマンも「おめえだろ? 一番ナメてんのは。みんなでやろうってやってんじゃねえのか?」と反論。「俺のことぶん殴って焚きつけて、てめえはどうやってこれ終わらせるんだ? 何をしてくれるんだ? 一緒にやっていくんじゃねえのか?」と怒りを爆発させながら中嶋に詰め寄った。

 リンダマンの感情の発露を中嶋は「熱くなってんじゃねえか。いいよ、熱くなるのは大事だ」と歓迎。「UWFを盛り上げる。そのためにやってる」と強調したうえで、「今、俺の熱とお前らの熱がぶつかっただけだ。お前らLIDET UWFだよな? 俺はLIDET UWFのチャンピオンだ。何回も言わせるな。俺がルールだ」と言い放った。

 名古屋大会で中嶋のパートナーとなる伊藤が「LIDET UWFのルールちゃんと覚えて来いよ。負けたらLIDET UWFの負けだから、ちゃんと覚えてこいよ」と念押しすると、中嶋は「ルールはわかってるよ。ルールはプライドなんだよ」と返答。「お前たちにはプライドがねえのか? もっと表に出せ。今日のロックアップもそうだ。たかが練習かもしれない。されど練習だ。一つ一つの練習に魂ぶち込め。てめえらのプライドはそんなもんか? プライドを持て。プライドをかけてリングに上がれ!」と投げかけた。

 練習後、「何でもいいんだけど、そういう感情っていうのはエネルギーだと思ってるし。彼らには彼らのプライドがあるから、そこを俺は否定したくないし、彼らもプライドで戦えばいい」と話した中嶋は、各々が感情をリングにぶつけることでLIDET UWFのリングにさらなる熱が生まれると考えている。自身も対船木2連戦で「闘魂スタイルはこんなもんじゃねえ」という感情をぶつけるつもりで、「きっと当日わかるでしょう」と自信を見せた。

 LIDET UWF勢も「中嶋勝彦がGLEAT、LIDET UWFの手のひらの上だってことを忘れるなよ。それ以上のことはあいつの腰からベルトがなくなった時にしか言えないことだから。それまでしっかり見といてほしい」(リンダマン)、「中嶋の好きなようにはさせたくない」(伊藤)、「腰に巻いた金ピカのベルトも、内外からの大きな注目もずっとそのままにはさせねえぞって気持ちでやっていきます」(飯塚)と今まで以上に火がついた。LIDET UWFの活性化を目指す中嶋はさらなる熱を生み出すためにも強敵・船木を何としても突破する。

【中嶋の話】

――合同練習の内容の狙いは?

▼中嶋「狙いも何も、あの時、俺たちにしかわからなかった、リング上で手を差し伸べてくれた。お互いにUWFを盛り上げたいという気持ちがたぶんつながった瞬間だと思うし、そこは変わってないと思う。いろいろあったけど、ともに汗を流し、ともに戦った、この時間は誰にも奪えないと思うし、本物だと思うから。俺はそれを信じてるというかね。それが真実だと思ってる。UWFを盛り上げるために汗をともにかいていった方がいいんじゃないかなって。だって、みんなそうでしょ? どんだけ口で言っても汗を流したら口だけじゃない、ともに汗を流した実感というものがどんな世代でも、どんな競技でもあるでしょ? それと同じようなもんですよ」

――練習内容がLIDET UWFではあまりみられない、ロックアップ、ヘッドロック、タックルといった動きだったが?

▼中嶋「でも戦いでしょ。同じ。何も変わらない。唯一違うのはルールってだけでしょ。何も変わってないよ。戦いの本質は俺はあれだと思ってるからね」

――最後は衝突してしまったが?

▼中嶋「それぞれ何でもいい。どんな感情でもいい。むかついたとか、憎たらしいとか、単純にむかついたとか、何でもいいんだけど、そういう感情っていうのはエネルギーだと思ってるし。彼らには彼らのプライドがあるから、そこを俺は否定したくないし、彼らもプライドで戦えばいいと思う。俺は俺のプライドで戦ってる。同じUWFというリングを盛り上げたい気持ちはわかってるから。戦いの中で分かったから。それだけですよ。目標は同じでも、みんながみんな志は違うかもしれない」

――気持ちを出させるような意図があった?

▼中嶋「気持ちは大事でしょう。戦いの本質において。そうじゃない? 別にリングだけじゃない。なんでもそうじゃないですか。だって皆さんも戦ってるでしょ? マスコミの皆さんだって日ごろ戦ってるでしょ? 俺たちも日ごろ戦ってるんですよ。それと同じです」

――船木戦へ向けては?

▼中嶋「今日は船木戦の前に合同練習。これでまた船木戦のヒントが見つかったかもしれないし、それは実際わからない。その前に前哨戦がある。俺は変わらず準備するだけですよ」

――船木さんに対する感情はどんなものがある?

▼中嶋「感情? あの時にも言ったけど、闘魂スタイルはこんなもんじゃねえ。ただそれだけですよ。ホントその一言です。きっと当日わかるでしょう」

【リンダマン、伊藤、飯塚の話】

――合同練習を終えて?

▼伊藤「中嶋の好きなようにはさせたくないけど、練習を通じて、最後ああいう形になったけど、LIDET UWFを一緒に盛り上げていきたい気持ちは伝わったから、認めてる部分もあるけど。方向性はこないだの試合終わってからと一緒で感じるものがありました」

▼リンダマン「途中、火つけられて、腹殴られて、これ、いっちゃうタイミング? と思っていこうと思ったんですけど。こっちがガッと火がついたタイミングで、向こうにそれが欲しいと言われて、まんまと向こうの手のひらに乗っちゃったような形にはなったかもしれないけど、これだけは忘れないでいてほしいのは、あいつはこの俺たちを掌の上に乗せたかもしれない。だが、中嶋勝彦がGLEAT、LIDET UWFの手のひらの上だってことを忘れるなよ。それ以上のことはあいつの腰からベルトがなくなった時にしか言えないことだから。それまでしっかり見といてほしいですね」

▼飯塚「でかい顔されるのも、LIDET UWFを引っ張っていかれるのも気に食わないんですけど、向こうの言うことも一理あって。彼はGLEATが認める正式なチャンピオンだから、今の自分に言えることは一つだけですね。腰に巻いた金ピカのベルトも、内外からの大きな注目もずっとそのままにはさせねえぞって気持ちでやっていきます。俺がLIDET UWFを取り戻す」

▼リンダマン「今日の練習でLIDET UWF、GLEAT軍として、やっぱり中嶋勝彦との練習の中で足りない部分っていうのは各々見えたと思う。だけど言わせてもらうと俺の練習をやらせてもらえれば、中嶋勝彦がついてこれるかわかんないからね。悪いけど、朝、13キロ走ってから来てるからね。今からも練習だよ。さあできるか? と言いたいところですが、チャンピオンだから。しっかりあいつの腰からベルトを獲らないと俺の言う言葉も説得力ないでしょう」

▼伊藤「そうね。チャンピオンがすべてっていうね」

――中嶋選手の教えで得たものは?

▼リンダマン「ヘッドロックの位置だったり、ロックアップのスタイル、イズムは国によって団体によって違うだろうし、その中で中嶋勝彦のスタイルが健介オフィスなのかNOAHなのかわからないですけど、そういうスタイルっていうのが中嶋勝彦の中にあるんだなというのは思いましたね」

▼伊藤「確かに。僕はデビューしてから教わってきてることと、また違う技術も今日あったから。教わる気持ちじゃないけど、こういういろんなイズムがあるんだなって意識で、吸収する形で今日はLIDET UWF練習として受け取った感じですね」

――中嶋選手はLIDET UWFを理解していないようだが?

▼伊藤「理解してないですね。だって今日LIDET UWFの練習でしょ? なんもしてない。実戦とか。僕が言いたいのは次の名古屋で船木と橋本大地。僕と中嶋が組んで勝負するんで、こっちが負けたらLIDET UWFの負けなんで。プライドがどうとか言ってるけど、俺から言えることはLIDET UWFのルールを少しは覚えてきてくれ」

▼飯塚「練習をして、タックルの練習の時、『思い切りぶつかれ』って言われたんですけど、何回も言われました。自分のやってるうちの解釈としては気持ちをもっとぶつけていけって言われてるように途中から受け取って。中嶋選手の試合は本当に熱を持ってるんで、LIDET UWF、今は殺伐さをメインにお客さんに見せてるところがあるんですけど、熱を持って試合をしていくっていう、そういう部分が吸収できたら、もっと熱い試合、もっとお客さんが燃え広がるような熱い試合ができると思ったんで、そこが自分の収穫でした」

▼リンダマン「タックル一つとっても各々のスタイルがあって、各々のスタイルが正解であり、不正解でもあるから。今までの形をぶち壊して新しい形を作っていくのがベンチャー団体GLEATの仕事ですから。今までのところに必ずしも乗っかる必要はないんじゃないかなって思ってますね」