『シュリ』『ブラザーフッド』のカン・ジェギュ監督の最新作『ボストン1947』が全国公開中だ。1947年のボストンマラソンを舞台に、祖国への想いを胸に、命がけのレースに挑むマラソン選手たちの真実に基づくドラマを描く。来日したカン・ジェギュ監督にインタビューを行った。

―本作では実際の出来事を扱っていますが、映画化にあたり注意したことは何でしょうか。

まずは1947年という時代を、出来るだけそのまま映画の中に持っていこうとしました。当時の雰囲気、当時を感じられる画面作りをするということ。事実が元になっているという意味でも、かなり気を使いました。

あの当時の韓国(※祖国解放から朝鮮戦争の間の時代)は、これまで作品としてはなぜかあまり描かれて来ていません。当時を知る資料があまり多く残っていないことも影響しているのかも知れないです。

いずれにせよ本作では1947年を出来るだけ再現したいと、限られた資料でしたが、出来るだけ忠実に描きたいと思いました。ただ、作品の性質上、創作した部分が入っています。主な登場人物3人の性格をよりはっきりさせるため、事実とは異なる部分も入れたりしています。

ボストンマラソン大会は、あるがままをそのまま描こうとしました。

―ソン・ギジョンを演じたハ・ジョンウの魅力について教えてください。

彼は本当に多彩です。絵も描けるし、演技も出来る。24時間しかない1日の時間をどうやって使っているのかと思うほど、うらやましい人です。実は本作は、ハ・ジョンウさんを最初にキャスティングしました。というのも、この『ボストン1947』という作品は、ソン・ギジョンからスタートしているものですし、やはりこの作品では大きなしっかりとした柱が必要と考えました。

ソン・ギジョン先生役を考えた時に、一番マッチポイントが多かった俳優がハ・ジョンウだと思い、キャスティングしました。結果的にこの作品の大きな柱になってくれた。彼がいてくれたおかげで、しっかりとした作品になったと思います。

―本作が日本で公開されることについて。

これまでわたしの映画は、ほぼ日本で公開されているのですが、この映画を作っている時に日本で配給されないかも知れないと思いました。ただ、その心配は違って、わたしが憂慮していたよりは、みなさんこの映画を観ても居心地の悪さを感じることはなく、スポーツ精神を扱ったスポーツの映画と捉えてくださったそうです、それは本当に幸いなことだったと思います。

『ボストン1947』

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新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開

配給: ショウゲート

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