誰にでも同じように聞こえてるわけでも、聞こえ続けるわけでもない
ViXionのViXion 01という視覚をサポートするデバイスがある。これを試した時に、「タクタさん、普通に見えるのが当たり前と思い過ぎ」と言われた。たしかに、筆者は若い頃は視力が2.0だったし、今なお老眼が入ってきたとはいえ0.7以上の視力を維持してる。夜も比較的見える方だ。しかし、取材して周りの人に聞くと、さまざまなカタチでの視力の低下と折り合いをつけながら生活している人が多いと知った。
近眼/老眼が気になる工作好きに福音。ViXion01、クラファン開始
2023年07月03日
同様に、耳についても両耳で完調に聞えている人ばかりではない。意外と「実は片耳があまり聞こえてない」という人は多いし、なんらかの聞こえづらさを抱えている人は少なくない。もちろん、『難聴』と診断されるようなレベルだと医療の問題だし、補聴器を使うことも考えなければならないだろう。
しかし、そこまででなくても「ちょっと聞こえづらい」を抱えている人は少なくないようだ。また、祖父母や親族を見ていても、高齢になると耳が遠くなるのは、ある意味当たり前だろう。
AirPods Proがノイズキャンセリングに逆位相の音を出したり、外部音をキャンセルしたり、人の声だけを残したりしているのを見ると、「これって、聴力の補完に使えないのだろうか?」と思っていたのだが、まさにその機能が追加される。
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AirPods Pro 2で計測して、AirPods Pro 2でサポート
まずは予防機能。AirPods Pro 2は、毎秒4万8000回の早さで周囲の音を捉えてそれが大き過ぎる音であれば逆位相の音を出して打ち消すことができる。『大きな音の低減』機能はデフォルトでオンになっている。
次に認知。AirPods Pro 2は、iPhone、iPadと連動して、臨床レベルの聴力検査を行うことができる。検査にかかる時間は約5分。結果は、プライバシーを保護した状態でヘルスケアアプリに保存され、必要に応じて医療機関と共有して相談することができる。
さらに補助。AirPods Pro 2は、軽度から中程度の難聴が認められる人に向けて、処方箋不要でヒアリング補助機能が追加できる。つまり、ノイズキャンセリングと逆の動作をして、入ってきた音を補強できるということなのだろう。
テストに基づいたプロファイルが適用されると、外部音にも、音楽、映画、ゲーム、通話にも自動的に適用され、すべての音が聞き取りやすくなるとのことだ。
また、難聴の度合いが小さい人や難聴のない人でも、通話中の会話やサウンドトラックの楽器の特定の部分のみの音量を大きくしたりすることができるとのこと。なんだかここまでいくと、デバイスで『聞く』という能力が拡大されるように思える。
先に書いたViXionもそうだし、AirPods Pro 2のヒアリング補助機能も、我々の能力の衰えや、もとからある差違を、デバイスが補完してくれる世の中がやってきたことを感じる。Vision Proを使っている時にも、視力の合焦範囲がサポートされているように感じることもあるのだが、将来的にVision Proに望遠レンズや、マクロレンズが搭載されたら、我々は『超視力』を手に入れたように感じるのかもしれない。