YouTuberに「なった」のではなく「させてもらった」
──足の裏さんはなぜYouTuberとして活動するようになったのでしょうか?
たまたまYouTubeのおすすめ欄から美容系YouTuberのメイク動画を観ていた当時の彼氏(現在の夫)から「YouTuberをやってみたら?」と提案されたことがきっかけでした。
もともと私は目立ちたいタイプでもないんです。顔を出して配信することはおろか、YouTube自体にも興味はありませんでした。でも「絶対に観てもらえるよ」って半年くらい言われ続けて。2016年に最初の1本目を投稿しました。
足の裏さんが投稿を始めたころの動画「足の裏から人間になるには」
──スッピンをネットに晒すことって、勇気が要ると思いました。抵抗感はありませんでしたか?
「誰も観ないだろう」と思っていたんですよね。1本だけで終わらせるつもりでした。最初の動画が運良くバズって初動で50万回再生を記録したのですが、その数字がすごいかどうかすらも分からなくて。夫が喜んでいたことだけは覚えています(笑)。
──最初は消極的だったはずが、継続して動画を投稿するようになった決め手は?
投稿された動画に、コメントがたくさん寄せられていて。そのたくさんのコメントが、すごくうれしかったんです。「何もできない自分でも、誰かの役に立てることがあるんだ」って。
たくさんの人が自分の動画を参考にしてくれたり、「ためになる」と言ってくれたのがとにかくうれしかった。そこから週に1〜2本のペースで動画をアップするようになりました。
今でも視聴者さんからのコメントには救われています。特にうれしかったのは「引きこもりだったけど、ウラちゃん(足の裏さん)の動画を観るようになってからメイクの楽しさを知り、外に出られるようになりました」というコメントでした。
──それはうれしいですね。
視聴者さんからのコメントにはすごく助けられています。自分がさらにメイクを好きになれたのも、まさに視聴者さんたちのコメントがあったからこそ、なんです。
ブライダル会社ではたらいていたときに訪れた「第二段階」のフェーズでは、自分の似合うメイク・似合わないメイクを理解しきれていませんでした。でも視聴者さんたちが「どこに違和感がある」とコメントを残してくださったおかげで、少しずつ自分に似合うメイクが分かってきて。
──先ほどおっしゃっていた「三段階目のステップアップ」ですね。
メイクの方法だけではなく、「照明を付けた方が観やすくなるよ」「もっとカメラに近づいてみて」といった動画の撮影方法にまでアドバイスをいただいてます。
今の撮影スタイルは、視聴者さんからのコメントのおかげで確立できたと言っても過言ではありませんね。今でもコメントはすべて目を通すようにしています。
──足の裏さんがこうしてYouTuberとして2016年から継続的に活動を続けていられるモチベーションを教えてください。
まず先ほども言った通り、私は目立ちたがり屋でもなければ向上心もありません。我ながら自分のことを「YouTuberに向いている」とも未だに思っていないんです。
その代わり、良い意味で自分を他人と比べることをしてこなかったし、再生数も意識してこなかった。だからこそYouTuberとしての活動1本に絞り、8年も続けられているんだと思います。
ただ「向上心がない」と言えど、私のことを応援して動画を待っていてくださる視聴者の皆さんがいる限りは、動画投稿を続けたいです。だから、原動力は「視聴者の皆さんがいること」というのが答えかもしれません。
あ、でも厳密に言うと私は「YouTuberを続けてきた」というより、「続けさせてもらってきた」かもしれませんね。そもそもYouTubeって再生回数がないと広告収入が入らず、収益化できないじゃないですか。視聴者さんの存在がないと「仕事」とは言えなくなります。
動画の再生回数やコメントを見るたび、視聴者の皆さんに「YouTuberとしてはたらかせてもらっている」と実感する瞬間、多いんです。私がYouTuberを名乗れているのは、いつも観てくださっている皆さんのおかげだと思います。
これからも私のチャンネルをチェックしてくださる人がいる限り、私はYouTuberという仕事を続けたいです。
(文:高木 望)