【家電コンサルのお得な話・208】地震発生時における火災は、私たちの生活を脅かす大きなリスクだ。過去の大震災では、火災原因の6割以上が電気に関連するもので、その多くが「電気機器からの出火」や「停電後の電力再開時に発生する通電火災」である。特に建物が密集する都市部では、火災の拡大を助長し、多大な被害をもたらす恐れがある。こうしたリスクを軽減するため、各家庭で「感震ブレーカー」を設置することが強く推奨されている。設置の補助金を上手く活用して、火災被害のリスクを減らそう。
●地震の揺れを検知して自動で電気をオフに
感震ブレーカーとは、地震の揺れを感知して、自動的に電力を遮断する装置である。大地震の際、人々は安全な場所への避難を最優先するため、手動でブレーカーを切るのは難しい。
感震ブレーカーを設置していれば、地震の揺れに反応して電気の供給を瞬時に停止できる。これにより火災の発生を抑制し、他の住宅や建物への延焼を防ぐことができるため、地域全体の安全を守ることにもつながる。
また、感震ブレーカーには、簡単に取り付けられる「簡易タイプ」もある。価格も比較的安価で、手軽に導入できる点も魅力である。特に高齢者や身体に障害のある方々にとっては、避難時に電気の遮断を自動的に行うこの装置が、大きな安心をもたらしてくれるだろう。
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●購入・設置費用の最大2分の1を補助
こうしたことから、自治会や町内会を対象に感震ブレーカーの設置に対して補助金を提供する自治体もある。例えば横浜市では、市内全域の自治会、町内会、マンション管理組合を対象に「簡易タイプ」の感震ブレーカーの購入・設置費用の最大2分の1を補助している。
例えば、1個3000円の感震ブレーカーを150個設置する際に税込金額は49万5000円となるが、その半分の24万7000円(端数切捨て)を補助する。補助要件は、加入世帯の10世帯以上に補助対象製品を購入・設置することとある。
特に、横浜市のように人口密度が高く、住宅が密集している地域では、火災が発生すると迅速な消火活動が困難にあり、火災の拡大するリスクが高まる。感震ブレーカーの導入は、このような火災リスクを大幅に軽減する手段として有効だ。
感震ブレーカーの設置は、一見小さな対策のように思えるかもしれないが、その効果はとても大きい。特に地震が頻発する日本では、この装置が命を守る重要な役割を果たす。火災を防ぐには、事前の備えが何より重要である。
現在では、横浜市のように補助金を提供している自治体も増えているため、居住する自治体のホームページなどで事業の有無や事業内容・条件の詳細を確認していただければと思う。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。