台風が「メンタルと身体」にもたらす影響と、精神科医が勧める予防策6選

今年は夏から台風の影響で、交通機関に支障が出たり、各地で避難指示が出たりなど日常生活にもさまざまな影響を及ぼしています。台風が接近すると、気圧の変化や強風、豪雨など、自然環境もいろいろな事が付随して、私たちの身体や心にもさまざまな影響が現れることがあります。皆さんの中にも、この台風で体調が悪いと感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 今日は台風がもたらす身体的・精神的な症状と、それに対する対処法や予防策についてお話ししていきます。

台風が私たちの身体にもたらす症状4つ

まず、台風がもたらす身体的な影響について見ていきましょう。台風の影響で最もよく見られるのは、次のような症状です。

頭痛や偏頭痛が起こる

台風が接近すると、一般的には気圧が急激に下がります。この気圧の変化により、とくに敏感な人は頭痛や偏頭痛を引き起こすことがあります。

こういった気圧による症状は人によってさまざまで、人によっては複数の症状を同時に抱える方が多いですが、その中でも頭痛は一番メジャーな症状かもしれません。気圧の低下は血管の収縮を引き起こし、それが神経を刺激して頭痛をもたらすと考えられています。

耳鳴りや耳の圧迫感など、耳の違和感が

耳の症状も頭痛と共に感じる方が多い症状です。これも基本的に気圧の変化に関連しています。耳の中に内耳と言われるところがあり、内耳の圧力が外の気圧と均衡を保てなくなると、耳鳴りや耳の圧迫感が感じられることがあると言われています。

耳が詰まった感じだったり、ボワンと二重に聞こえたり、耳が聞こえにくくなったり……。人によって出方はさまざまですが、とにかく何らかの耳への普段とは異なる違和感があるという方が多いです。

めまいや吐き気が出る

耳鳴りなど、内耳に影響が出ているという話をしましたが、耳はただ音を聞くだけではなく、平衡感覚も司っています。ですので、気圧の影響を受けると、バランスを保つのが難しくなるため、めまいや吐き気を感じることがあります。

とくに、普段から乗り物酔いしやすい人は要注意! より、この影響を強く受けることがあります。

関節や古傷が痛む

これも気圧の変化が原因。気圧が低下することで、自律神経が活発になりヒスタミンという物質が過剰に合成されます。ヒスタミンは、私たちの体のいろんな組織に存在し、怪我などをすると活性化し炎症反応を促進する性質があるので、痛みが出てしまうのです。

だから、「古傷が痛む…」という表現は本当なんです。昔の怪我なども、表面上は治っている様に見えても、皮膚の下ではまだまだ回復していないこともあります。低気圧により自律神経が活性化し、ヒスタミンが過剰に分泌されることでまだ治りきっていない組織に対して炎症反応が起き、痛みが発生するというわけです。

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台風がメンタルにもたらす症状3つ

次に、台風が精神面にもたらす影響についてみていきましょう。台風の接近や通過に伴う不安やストレスが、いくつかの精神的な症状を引き起こすことがあります。

不安感やイライラ感

そもそも、日本は地震や台風などの災害が起こってしまう地域です。そういったニュースが連日報道され、耳にする事で不安や恐怖が募ることがあります。

とくに過去に台風の被害を受けた経験がある人や、感受性の高い人は、その不安感が強くなる傾向にあります。また、恐怖という反応だけでなく、イライラしたり、落ち着かないなどの表現として表れることもあります。

睡眠障害

“自律神経の乱れ”と言う言葉を耳にしたことがあるかもしれません。低気圧などの天候変化も、自律神経を乱れさせる要因として知られています。

自律神経が乱れは睡眠にも影響が出ます。寝付けなかったり眠りが浅くなったりする方もいれば、眠たくてしょうがないという反応になることも。睡眠が崩れると、ますます自律神経も乱れていき、イライラが募り、倦怠感も増していく…という悪循環に陥ってしまう恐れがあります。

抑うつ気分

台風の日は、雨というだけでもなんとなく気分があがらないですよね。実際、日照時間が少ない時期が一定続くと、メンタルに影響を及ぼすと言われています。

また、気圧の低下によって身体にストレスがかかり続けると、自律神経はうまく副交感神経に切り替わることができなくなります。常に交感神経優位となり、緊張した状態が続きます。

すると神経は少しずつ疲弊していき、慢性的な不安感やイライラ、不眠、集中力低下などが引き起こされていきます。台風が近づくことで抑うつ気分になりやすいのです。