秋の島根県では、全国から神々が集まる「神在祭(かみありさい)」が行われます。この神聖な行事とともに、紅葉やグルメも楽しめる島根ならではの秋の過ごし方を紹介します。
神在祭とは?
神在祭は、旧暦10月に全国の神々が出雲の国に集まるとされる伝統的な神事です。この時期、他の地域では神々が不在になるため「神無月(かんなづき)」と呼ばれますが、出雲では神々が「在る」月として「神在月(かみありづき)」とされています。
この神在祭は、島根県各地の神社で行われ、特に出雲大社では11月10日から始まる「神迎神事(かみむかえしんじ)」が見どころです。神々を迎える儀式が行われ、その後、神々の会議「神議り(かみはかり)」や、神々を送り出す「神等去出祭(からさでさい)」といった神聖な儀式が続きます。
出雲大社だけでなく、熊野大社や佐太神社、朝山神社などの由緒ある神社でも神在祭が執り行われます。それぞれの神社で、神迎えや神議りの儀式が行われ、地域ごとの特色を感じられるのが魅力です。
神在祭が行われる神社
熊野大社
佐太神社
朝山神社
万九千神社
熊野大社(松江市)
出雲国の一宮で、出雲大社と並び称される歴史深い神社です。「日本の火の発祥の地」とされ、神在祭では「鑽火祭(さんかさい)」という火を起こす神事が行われます。神在祭は11月10日から26日まで開催されます。
佐太神社(松江市)
出雲国三大社の一つで、縁結びや安産、縁切りと長寿のご利益があるとされています。11月20日から30日に神在祭が行われます。
朝山神社(出雲市)
大国主神が毎朝通ったとされる伝説の古社です。ここでは、出雲国で最も早い11月1日に神迎えが行われ、10日まで神在祭が続きます。
万九千神社(出雲市)
神々が最後に立ち寄る神社で、神議りと神宴が行われる由緒を持ちます。神在祭は11月17日から26日までです。
神在祭と一緒に楽しめる島根の秋
神在祭の時期に訪れる島根では、神事以外にも紅葉や秋の味覚を楽しむことができます。
紅葉スポット
島根の秋を彩る紅葉スポットの一つは「鬼の舌震(おにのしたぶるい)」です。渓谷にある巨岩や奇石が並ぶ自然の景観の中、遊歩道から紅葉を楽しむことができます。また、津和野にある「旧堀氏庭園」は、歴史ある日本庭園で、色鮮やかな紅葉が美しい場所です。
秋の味覚
島根の秋の味覚としては、脂が乗った「のどぐろ(アカムツ)」が特に有名です。浜田市では「どんちっち」の名でブランド化され、秋が旬のこの魚を堪能できます。また、出雲そばは夏と秋の二度旬を迎えますが、特に秋のおそばは味や香りが最高です。松江市や出雲市で名店を巡り、島根ならではのおそばを味わうことができます。
島根の秋は、神々が集まる神聖な雰囲気とともに、美しい自然やグルメを堪能できる特別な季節。この時期にぜひ足を運び、神々の国で過ごす秋を体験してみてはいかがでしょうか。
文・トラベルライター/SHIHO