TBSテレビの50代男性社員が、港区赤坂のカラオケ店で「既婚者専用マッチングアプリ」で知り合った40代の女性に性的暴行を加えたとして警視庁に書類送検された。男性が女性と会うのは2回目で行為を認める一方、同意があったと主張している。今回話題になった「既婚者専用マッチングアプリ」とはそもそもなにか。なぜ利用しているのか。実際の利用者に話を聞いた。
“既婚者専用マッチングアプリ”誕生の背景に、社会問題×テクノロジー
未婚化・少子化が問題視される日本だが、結婚・出産後も悩みは尽きない。
令和元年の厚生労働省の調査によると、離婚率は35%と3組に1組の割合※1 で、離婚原因は男女ともに「性格が合わない」が1位だ※2 。さらに結婚生活が続いたとしても、1か月以上夫婦間の性交渉を行わないセックスレスの割合は6割を超え、3年前に比べて12%増えた※3 。
今や社会問題ともいえる既婚者たちの現状。家で身体も心も満たされない彼ら彼女らは、家の外に恋愛や性行為をする相手を求める。テクノロジーの発達により、Xで「婚外恋愛」のハッシュタグをつけて募集したり、Facebookの既婚者専用の限定グループで探したりすることが容易に可能となった。
しかし、ネットでは相手の顔や性格が見えにくい。既婚者は未婚での恋愛と違い、出会いを求めていると知られてはならないからだ。
そこで誕生したのが、「既婚者専用マッチングアプリ」だった。
今回の事件で「既婚者専用マッチングアプリ」という言葉を始めて耳にしたという声が多数あがった。Xではニュースが配信された後にトレンド入りし、多くの議論を巻き起こした。
「タップル」「with」「Omiai」などの一般的なマッチングアプリでは会員数が1000万人をこえる一方で、既婚者専用では最大手と言われる「既婚者クラブ」でも30万人。この数が多いか少ないかはさておき、リスクを抱えつつも、一定数が利用していることは事実だ。
もうひとつ一般的なマッチングアプリと異なるのが、料金である。一般的なマッチングアプリの男性料金相場は月額3700円だが、既婚者専用は月額4980円~9800円と安くはない。
危険を冒し、お金を払ってまでマッチングしたいと思わせる理由は、なんなのだろうか? 実際に既婚者専用マッチングアプリを利用している男女に話を聞いた。
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夫とのレスを機に登録、婚外彼氏と月に一度のデートを
「セフレを探すために登録しました」とまっすぐ語るのは、会社員のミユキさん(仮名・43歳)。
「夫は妊娠中からセックスを拒むようになり、産後は私からなんとかお願いして、してもらっていました。そのうちに1年が経ち、ついに本格的に断られるようになりました。誘っても話をそらされたり、見るからにうんざりされたりされて、悲しくてたまらなくて……。でもセックスはしたくて、既婚者専用マッチングアプリに登録しました」
登録したのは「カドル」と「既婚者クラブ」。どちらも月額料金が高額なせいか、「男性の職業は、結構よさそうな人がたくさんいました」という。
登録するにあたって、身バレなどのリスクは気にならなかったのか。
「自撮りの写真を掲載する義務がないので、身バレのリスクが小さいんです。写真をぼかす機能がついていて、セルフィーをぼかして載せる人が多いですね。そうすれば雰囲気は伝わるので」
気に入った人がいれば、あとは普通のマッチングアプリと流れは同じ。いいね!を押して、お互いにいいね!をし合えば、メッセージ機能が使えるようになる。メッセージを数回やり取りして、仲よくなると、ぼかしていない写真を交換するとのこと。そしてお互い気に入れば、デートへ発展するそうだが……。
「写真を送った瞬間にがっついてくる男性か、急に冷たくなる男性にわかれます。この写真交換で、一気に人柄が見えてきますね」
「アプリを通じて、半年で7人くらいと会いました。夫と別れるつもりはなく、身体の関係だけが目的だったので、『ちょっと話が合って、見た目が合格ラインならいいか』と思い、3~4人とはホテルに行きました。なかにはお茶だけで終わった人もいます」
しかし、どの男性とも長続きをすることはなかったそうだ。一度体を重ねたきり、音信不通になったこともあったのだとか。
「もちろん私も身体の関係が目当てでした。でも、あまりに全員が下心が丸見えで、うんざりしてきたんです」
半年がすぎて辞めようかと思っていた矢先に、今の彼氏と出会ったという。
「お互い子どもがいて、平日は仕事なので、会うのは土日の日中。食事をしてホテルに行く半日コースか、ホテル集合・ホテル解散の3~4時間コースかどちらかですね」
彼とは月に1回のペースで逢瀬を重ねていて、ミユキさんは今の関係に満足しているのだとか。夫に求めなくなったため、期待して裏切られることもなく、夫婦関係はむしろ良好になったという。
一方で、ミユキさんのように心も体も許せる彼氏ではなく、性欲の探求が目的の猛者もいる。
その女性は「SMプレイが好きで、夫とは満足できなくて、アプリで一緒に楽しめる男性を探していた」と語る。
「平日の日中、子どもと夫が出かけている間に婚外彼氏と会っています。車で県外のホテルに行き、現地集合・現地解散。バレないように細心の注意を払っています」
どうやら「ママ友で車のダッシュボードにGPSを仕込まれて、不倫がバレた子がいた」という。危険と常に隣り合わせだが、それでもやめられないのだ。