アニメ全体のクオリティを左右する作画は、鑑賞時に注目されるポイントのひとつです。マンガでは得られない躍動感、美麗な映像を期待する人もいるでしょう。しかしなかには、作画崩壊が話題になったり、賛否を呼んだりした作品もあります。
作画崩壊が「顔芸」とまでいわれたアニメ『遊戯王デュエルモンスターズ TURN2』DVD(キングレコード)
【画像】え…っ? 「スイカ逆流」「角度おかしくね」こちらが作画崩壊で話題になったアニメです(6枚)
シュールな崩壊ぶりで「怪作」と呼ばれる結果に
アニメは、マンガや文章だけでは表現しきれない躍動感や、表情の動きなどを描けるのが魅力のひとつです。鑑賞する際は、作画のクオリティに注目する人も多いでしょう。しかしなかには、「作画崩壊」を起こしたことで注目を浴びてしまった作品もありました。
まず、SNSなどで頻繁にネタに使われていて、観たことがなくても馴染みがある人も多いのが、高橋和希先生のマンガが原作のTVアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の作画崩壊シーンです。原作は「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、アニメ化だけでなくカードゲームやTVゲームなど、さまざまなメディアミックスがされています。
その同作の2度目のアニメ化にあたる『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』では、多くのシーンでキャラの顎が必要以上に長いことや、顔のパーツが歪んでいることが話題にあがりました。ファンの間でイケメンといわれる「海馬瀬人」や、男気あふれる性格が魅力の「城之内克也」など、作中の人気キャラが「顔芸」と言われてしまうほどだったのです。
ファンの間では「同じキャラに見えない」「これ明らかにわざとだよね?」という声があがりました。作画監督を務めた加々美高浩さんは2012年にX(旧:Twitter)にて、「好き勝手にやってたのではなく、高橋先生の原作を読んで、そこから『このキャラはこんな性格っぽいからこういう事するかも』て、考えて、例えば城之内は熱血アニキキャラ→格闘技好きかも→プロレス好きかな→猪木好きだろ→アゴ!とかやってました」という経緯で、このような作画を生み出したことを明かしています。
同じく作画崩壊がネタとして語り継がれているのが、ゲーム・CD制作会社「アスガルド」による乙女ゲームシリーズをアニメ化した『DYNAMIC CHORD(ダイナミックコード)』です。2017年10月から放送された本作は4つのバンドにそれぞれスポットを当て、バンド音楽の楽しさや、バンドマンたちとの恋物語を描いています。 美男子に目を奪われる作品ですが、背景や物体の描写で多発している作画崩壊シーンがネタにされているのです。
たとえば、ファンのあいだで「伝説回」と呼ばれる第4話では、車の天井からシートベルトが伸びていたり、どのように進むのかわからないようなY字路を車が走行していたりと、違和感のある描写があります。さらに川でスイカを冷やすシーンでは、川の流れとは逆方向にスイカが流れており、ファンの間では「逆流スイカ」として名場面に数えられるほどでした。
ツッコミどころにあふれるシーンの数々で、逆に好意的な反響を呼び「間違いなく伝説のアニメ」「笑いすぎて顔面麻痺しそう」「平成最後の怪作だと思う」など、一部の視聴者の間では伝説化しています。
神作画といわれながら一部作画がネタにされたTVアニメ『五等分の花嫁』キービジュアル (C)春場ねぎ・講談社/「五等分の花嫁」製作委員会
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神作画アニメと思いきや何かがおかしい時も?
神作画として称賛される場面もあるものの、いくつかの作画崩壊で賛否を呼んだのが、春場ねぎ先生による人気コミックをアニメ化した『五等分の花嫁』です。2017年から「週刊少年マガジン」(講談社)にて連載された本作は、男子高校生「上杉風太郎」と、彼が家庭教師をする同級生の五つ子女子たちとの恋の行方が描かれています。本作はTVアニメシリーズでさらなる注目を集め、2022年5月に公開された映画『五等分の花嫁』は興行収入が約22億4000万円を記録しました。
笑いあり、感動ありのストーリーや、登場する五つ子たちのかわいさで大ヒットした本作ですが、アニメ1期では肝心な五つ子の作画崩壊が密かに話題になっています。原作どおりのかわいさを期待された五つ子のビジュアルは、パーツが崩れていたり細部が雑になっていたりなど、美しさが台なしになる瞬間があったのです。
なかでも次女の「中野二乃」に関しては、顔と身体の大きさのバランスや、場面によって異なる目の間隔など、五つ子のなかでもとくに不自然さが目立ち、「絶妙にかわいくない」「二乃に恨みでもあるの?」という声が出ています。二乃は強気でありながら時折見せる優しさが魅力の「ツンデレ」で、根強い人気を誇るキャラだけに、作画崩壊には特に注目が集まりました。
一方、同じ1期でも「神作画のシーンもちゃんとある」「ストーリーが良すぎて作画はそんなに気にならない」など、一部の作画崩壊を凌駕するほどの良作とのコメントも多くみられます。徐々に関係性が深まっていく風太郎と五つ子のたちが織りなすストーリーも相まって、基本的には評価の高いアニメ作品となりました。