関脇貴景勝が秋場所3日目(9月10日)から休場を発表、気になるのが今後の進退だ。師匠の常盤山親方(元小結隆三杉)によると、2連敗した後に「首の状態が良くない、休ませてください」と本人から申し出があったという。
21年5月場所に首を痛め、「頸椎椎間板ヘルニアによる神経根症」と診断されて以来、首の痛みと付き合う日々だった。先場所に5年ぶり2度目の大関陥落が決まり、今場所は10勝以上あげれば1場所で大関に復帰できた。満身創痍の状態ながら必死にそれを目指したが、休場後は途中出場もしないことが決まり、来場所は平幕まで陥落するのが決定的だ。
まだ28歳。常盤山親方は「相撲を続けたい気持ちは強いと思う。まだやりたいんだろうなと感じました」と話したが、その去就は微妙だ。二所ノ関一門の湊川親方(元小結大徹)が今年6月30日、70歳定年まで2年あるのに退職した。この際、貴景勝が湊川株を取得したという情報も駆け巡ったが詳細は不明だ。
貴景勝は平成の大横綱貴乃花親方の最後の弟子。手塩にかけて育て上げながらも、いまは「相撲中継はほとんど見ない」と貴乃花氏は話している。貴景勝についても「あの子は体が小さいというハンデがあったので、土俵で生きていく上での基本は徹底的に叩き込みましたから」と言い、2018年に相撲協会を退職してからは、やりとりは一切していない。
今でも相撲協会の親方衆の中には“貴乃花アレルギー”があり、貴景勝の引退後に向けて親方株の手配を手助けする関係者がいない上に、今の師匠の常盤山親方には新弟子時代から育ててきた隆の勝がいる。常盤山部屋はこの隆の勝が継ぐことが内々に決まっている。
首の故障を治すのも、引退して親方になるのも、まさに孤独な戦いが続く貴景勝。今後のことは本人しかわからない
(小田龍司)