【WEC】ウイングレス脱却も、苦戦続くプジョー。来季に向け、さらなるアップデート必要か評価進める

 世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラスに参戦しているプジョーは、上位との差を縮めるため、2025年にLMH車両の9X8にさらなるアップグレードを導入することを検討している。

 プジョーは今季途中、第2戦のイモラからリヤウイングを搭載した改良型9X8を走らせているが、来季に向けてさらにエボジョーカーを使用してマシンを改善する必要があるかどうかを判断するため、今季残りの2戦でマシンのポテンシャルを完全に把握したいと考えている。

 プジョーのテクニカルディレクターであるオリビエ・ジャンソニーは、ハイパーカークラスでのプジョーの状況を改善するために何をすべきかと尋ねられ、次のように答えた。

「今はマシンのパフォーマンスを見ているところだ。だが何か発見があるまでは、マシンの改善に必要なのが何なのかを知るのは難しい」

「我々は色々なことを検討している。マシンの評価を進め、改善すべき多くのポイントを特定し始めた。特にこの2レースはそのために非常に重要だった」

「セットアップで解決できないことがはっきりすれば、最終的にはエボバージョンの投入やジョーカー使用を検討することになる」

 2023年に9X8をデビューさせたプジョーは、5年間に許された5つのエボジョーカーを使用し、マシンを改良した。

 ただ、ジョーカーがどれだけ使用されたか公開はされておらず、他メーカーにも共有されていない。今季に向けてフロントタイヤの幅を狭く、リヤタイヤの幅を広くした変更でジョーカーが使用されているかも分かっていない。

 トヨタも、同様のタイヤサイズの変更を2021年から22年にかけて行なっており、LMDh車両とLMH車両の規則を収束させるプロセスの結果、LMH車両の最低重量が削減されたため、この切り替えが必要になったと説明した。

 エボ・ジョーカーの使用はルールメーカーであるACO(フランス西部自動車クラブ)とFIAに申請する必要があり、その裁量で許可される。

 シーズン途中のジョーカー使用でウイングレスから脱却したプジョー9X8だが、これまでのところ8位以上の結果を残せていない。前バージョンの9X8は昨年のモンツァで表彰台を獲得した他、今季の開幕戦カタールでも2番手チェッカー(後にガス欠で失格)を受けている。

 ジャンソニーは、プジョーがエボ・ジョーカーを使用することを決定した場合、どの時点でその可能性があるかは未定だとしながらも、2月下旬にスタートする2025年シーズンに新バージョンのマシンで臨む可能性は否定しなかった。

「それもオープンだ」

「何がパフォーマンスをもたらしてくれるかを懸命に検討している。これから年末にかけての調査結果次第で、どうするか決めることになる」

「(変更の範囲について)全体像が見えてくるまでは何とも言えない」

「何かをする前にどれだけ待つことができるか、そして素早く何かをすることでどれだけ得ることができるのか、そのバランスが必要だ。来月(のテストで)、サーキットで何を見つけるかにかかっている」

 ジャンソニーは、「目標は11月末までに明確なイメージを持つことだ」と付け加えた。

「自分のやっていることに100パーセント自信があるなら、2〜3週間で設計し、3〜4週間でパーツを製造し、テストすることができるような、迅速で簡単な変更にする可能性もある」

「それは2、3ヵ月の周期だ。もっと長くかかる選択肢もある。答えるのは不可能だ」