年間で約3億円を“投げ銭”される“顔出ししない”Vライバー、驚きの配信ノウハウ「スマホに向かって話すだけで稼げるってラクですか?」「1日、何して過ごしているんですか?」と失礼な質問も訊いてみた〈きゃべつ氏インタビュー〉

「TikTok LIVEバトル」で合計2億円投げ銭してもらう

──配信ではどんな話をされているんですか? 

たとえば僕だったら、今までの人生や仕事のことも話しています。それに看護師として働いた経験があるので、医療関係のことを話すこともありますし、「今日こういうことをしてきた」と自身の体験をリスナーと共有することもあります。

事前に話を作ることはしていなくて、何かコメントが来たときは、それに紐づくような話題をいろいろ考えて展開していく、という感じです。あとは、ほかの配信者とコラボしてトークするとリスナーも喜んでくれますし、本当にリアルタイムでエンタメを作り出すという感覚ですね。

プライベートの話だと、今、僕には彼女がいないので、「なんで俺に彼女ができないんだ」とか。あと最近意外と人気なのは、料理の話です。僕はそんなに料理が上手くないんですが、逆にそれがいいみたいで。たとえば、配信でたこ焼きを作ったときは、千枚通しではなく割り箸を使っていた様子がウケたり、生地の量が明らかに多すぎるってツッコまれたりもしました。

──そんな雑談で、3億円も投げ銭してもらえるものなのでしょうか?

TikTok LIVEには「バトル」という機能があって、配信者同士でコラボ対戦できるんですよ。対戦時間は5分間で、受け取ったギフトの数で勝敗が決まり、勝者はそのギフトの35%を手に入れることができるんです。

まさにこれがTikTok LIVEの肝で、僕は1人で配信するときは雑談が多いのですが、バトルでは猛烈に盛り上げて、しっかり勝ちにいくようにしています。やっぱりリスナーには「自分の推しに勝ってほしい」という競争心が働くのか、推し活に似ている感じで、まさにサッカーのワールドカップみたいにバトル中は配信者もリスナーも熱狂しています。僕の場合、これまで投げ銭してもらった3億円のうち、2億円以上はバトルによるものだと思います。

今年6月にはアジア圏のトップライバーが参加するイベントの日本代表に選ばれて、マレーシアのライバーと対決したのですが、そのときは1個9万円のギフトを数秒ごとにボンボン投げてもらいました。15分で約1000万円近くのギフトが飛ぶくらい盛り上がりました。視聴者は10000人ほどいましたね。今こういうのが世界中に広がっていて、四六時中、行なわれているんです。

推しのライバーが勝って視聴者に何があるかというと……「推しが勝って嬉しい」のだと思います(笑)。自分が応援しているライバーが勝てたら嬉しいですし、ギフトを投げて名前が呼ばれるとファンとしては嬉しいでしょうし、アイドルのグッズとかも、全部買いたくなるじゃないですか? 結局、投げ銭というのは推し活にかなり近い気がしますね。

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きゃべつ氏は、多いときで月4000万円以上の“ギフト”を受け取ることもあるという。送られたギフトなどの利益は、配信者が約50%近く得ることができるそうだ。「税金はもちろんしっかり払っています」と話すきゃべつ氏に、高額なギフトを貢ぐファンたちをどう思うのか、配信者が抱えるトラブルや課題についても訊いてみた。

(後編へつづく)

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班