メルセデスのジョージ・ラッセルとルイス・ハミルトンにとって、F1アゼルバイジャンGPの金曜フリー走行は対照的なものとなった。FP1、FP2共に好タイムをマークしたハミルトンに対し、ラッセルはパワーユニット(PU)系のトラブルに苦しめられた。
ラッセルはフリー走行1回目の早い段階で問題が発生し、さらにその後もトラブルが続いたことでエンジンを交換する羽目になった。メルセデスはFP1の後、エンジンオイルの解析によって異常を発見し、FP2に向けてはプールしていた他のエンジンに換装することにしたのだ。これによりラッセルはFP2の走行開始が遅れるなど、満足に周回を重ねることができなかった。
チームは交換することになったエンジンも再び使用することができると自信を持っており、今後徹底的な分析が行なわれるようだ。チームとしては、今回の交換はあくまで予防措置的なものであり、何かが明確に壊れたわけではないという。
ラッセルは来る予選に向けて、一歩後退してしまっている状況。ただガレージの隣にいるハミルトンの好調ぶりには希望が持てているようだ。
問題の原因は分かったのかと尋ねられたラッセルは、こう語る。
「今のところはノーだ。正確には分かっていないけど、エンジンを交換しなければいけないのだけは分かっていた」
「FP1の後に問題が出て、その後のセッション(FP2)で出遅れることになった。しかもそのセッションの終わりにも問題があったんだ」
「明らかに最高の金曜日とは言えなかった。でもルイスは速そうだし、マシンに力強さがあるのも分かっている。ただやっぱりフェラーリはここで相当強そうだね。彼らはバクーでは毎回速いんだ」
「FP1で起きたのはエンジンの問題で、(FP2の)最後の方にはセンサーの故障があった。だから液体漏れがあると思ってピットインしたけど、実際にはそうなっていなかった」
ラッセルはハミルトンのペースは励みになっているとはいえ、自分のパフォーマンスには満足できていない様子。改善のために自分を奮い立たせる必要があるとした。
「フィーリングはそこそこだったけど、素晴らしいといった感じではなかった」とラッセルは言う。
「僕は苦戦していて、ルイスと比べると間違いなくペースが遅かった。自信を持って攻めることができていなくて、タイヤを適切な作動温度領域に持っていくのにも苦労している。だから明日はもう少しステップアップして、ギャップを縮めたいね」
一方のハミルトンは、FP2でトップのシャルル・ルクレール(フェラーリ)から0.066秒差の3番手につけたということもあり、自身のパフォーマンスにはポジティブな感触を得ている。そのため、慎重な姿勢ではありながらも、アゼルバイジャンGPが良い週末になることに対しては楽観視している。
「良い1日になった。楽しんだよ」とハミルトンは言う。
「最初の方から調子が良くて、セットアップも少しずつ改善できた。それに、今回は一旦後戻りするようなステップを踏むようなこともなく、だからこそ着実に積み上げていくことができたんだ」
「ロングランが他と比べてどうなのかは分からないけど、それほど多くの周回はできなかった。レッドブルはかなり速さそうだし、フェラーリも同様だ。でも僕たちもその辺にいられているんじゃないかな」
「今日(金曜日)の段階では各車の燃料搭載量も分からないし、いつもFP3や特に予選に入ると、みんながタイムを上げてくる。僕たちの方は毎回それができているわけじゃない」
「僕たちは冷静になって、自分たちの持っている力を最大限に発揮できるようにしたい。もっと前に近付けていれば良いけど、それは明日になれば分かる」