WEC(世界耐久選手権)第7戦富士の予選で、ハイパーポールを制してポールポジションを獲得したのはキャデラック2号車(アレックス・リン/アール・バンバー)。地元戦のトヨタ勢を退け、初のポール獲得となった。
第3戦スパ以降は毎戦上位グリッドを確保しながらも、ポールに届かずにいたキャデラック。今回アタックを担当したリンは、ポールは何としても欲しかった結果だったとして、こう語った。
「これまで何度も、コンマ1秒とかそういうところで逃してきたんだ」
「僕は個人的に、本当に細かいところにも目を向けて、本気でチームを強くしようとしてきたと思っている。そうすることで、わずかながらでも成長していくんだ」
ハイパーポールでは2回目のプッシュラップで0.9秒タイムを縮め、トヨタ8号車の平川亮のタイムを0.041秒上回ったリン。彼は予選とハイパーポールの両セッションが、キャデラックにとっては薄氷を踏むようなものになったと明かした。
キャデラック2号車は、リンが予選セッションでピットアウトしてすぐ、リヤのアンチロールバーを調整する必要に駆られ、そして同セッションをトップ通過してハイパーポールに進んでからも、最初のフライングラップを中断するという間違った判断をしてしまったという。
「FP3の後、フロント(のグリップ)を良くするためにいくつか変更をしたんだけど、それが予想よりも強く出過ぎてしまった」とリンは説明する。
「リヤのロールバーを柔らかくしてバランスを取る必要があったけど、運良くそれで十分だった」
その後、ハイパーポールではBMWの15号車に遭遇してしまったことで最初のプッシュラップでアクセルを抜いたリンだが、「今思うとあのまま行っていれば良かった」と話す。アタックを2回しなければならない中で、それでもポール獲得の自信はあったのかと尋ねられると、こう答えた。
「他の誰もタイムを上げないのならね。エンジニアは(ポール獲得に必要なタイムが)28秒9だと言っていたけど、僕は『うん、それならいける』と思った」
トヨタの地元レースでトヨタを下してのポール獲得は、「小さな勝利だし、実際よりも大きいものに感じる」とリンは語る。強敵を倒して小さな喜びを得ることを楽しんでいるようだ。
また決勝レースに向けて、このポールを勝利に繋げるために必要はものは何かという対しても、リンは「それほど多くない」と答えた。キャデラックは前戦オースティンで4位と惜しくも表彰台を逃す結果となったが、リンは富士でキャデラック・Vシリーズ.Rが優勝争いに加わることを期待している。
「ロングランペースでは僕たちの方が少し速いと思うから、明日の彼らの調子次第では、僕たちも争いの中に入っていけると思う」