『STAR NAVIGATION 2024』後楽園ホール(2024年9月14日)
大岩陵平NOAHラストマッチ ○清宮海斗vs大岩陵平×
新日本から約1年間に渡って国内武者修行を続けてきた大岩が、“NOAH卒業マッチ”で清宮相手に総決算の大激闘を展開。最後は「海斗さん」と握手を交わして感謝し、NOAHファンから惜別の大・大岩コールのなか、いつの日か「もっと大きな満員の会場」で再戦することを誓いあった。
新日本所属ながら約1年間に渡ってNOAHにフル参戦し、異例の“国内他団体武者修行”を続けてきた大岩。いまやすっかりNOAHファンにも受け入れられ、小川良成さんの指導も受けながら、謙虚に、そして大胆に成長を遂げてきた。
その“卒業マッチ”として大岩自ら望んだのが清宮との決着戦だった。大岩をNOAHに導いた張本人。清宮とは組んで学び、袂を分かってからは闘っても火花を散らし続けてきた。
この1年で実に3度目となった清宮とのシングルマッチ。いきなり大岩がアナコンダスープレックス、ドクターボムと得意技で短期決戦を仕掛けると、ここ最近の遺恨をぶつけ合うような壮絶な喧嘩マッチに。場外戦になると、清宮は床やひな壇席でボディスラムを強行。大岩も真っ向から受けて立ち、エルボーやビンタなどが何十発も交錯した。
劣勢に陥った大岩だったが、アームドラッグやヒップトスなどNOAHで学んだ基本技で試合を立て直す。小川さんが得意としていたキャメルクラッチ式のアームロックも披露。腕への一点集中攻撃を繰り広げると、腰狙いにシフトし、総仕上げとばかりにドクターボムを仕掛けた。が、これをドラゴンスクリューで切り返した清宮はヒザ攻めで応戦。足4の字固めで長時間絞め上げて、リングは前回のシングルマッチのような技巧戦の様相に。
先に勝負に出た清宮はジャンピングニー、シャイニングウィザードから変型シャイニングウィザードをねじ込んだものの、大岩はニアロープに救われる。そして、追撃で清宮が放った三角飛び式シャイニングをドロップキックで撃墜。ラリアットやジャーマンで一気に押し切りにかかった。左ヒジを痛めて動きの鈍った清宮を急角度のドクターボムで叩きつけると、豪快なジャーマンもさく裂する。
大岩があと一歩まで追い詰めたが、最後に接戦をモノにしたのは清宮だった。なおもジャーマンを狙う大岩の足を絡み取ると、4の字式に固めたまま押さえ込み、そのままブリッジ。小川さんを思わせる四の字式エビ固めで逆転の3カウントを掴んだ。
まさに1年間の総決算ともいうべき互いの歩みを出し尽くした激闘。試合を終えた清宮は「大岩陵平、1年間、NOAHで闘ってくれてありがとう! このリングの誰よりも成長したな。陵平がどこにいようと、どこに行こうとお前はもう一員だよ」と遺恨を越えて称え、場内も感動ムードに包まれた。
そこへGHCヘビー次期挑戦が決定的な北宮が現れ、清宮相手に改めて挑戦を表明。「1ヶ月後の10月14日の後楽園。そこで決着をつけよう」と決戦舞台を指定し、清宮も「もちろんやってやるよ!」と即諾したものの、すかさず「ただ、ちょっとは空気読んでくれよ。今日は大岩陵平、NOAHラストマッチだ。今日のところはお下がりください」としっかり“主役・大岩”を強調して、場内もやんやの大歓声に包まれた。
「陵平、改めて1年間、ものすごい成長したよ。お前はどこへ行ってもNOAHの魂を持った選手だよ。どこに行っても俺はみてるぞ!」。清宮から、改めてそう熱いエールを送られた大岩もマイクを握る。
「清宮海斗、いつも俺の高い高い壁でいてくれてありがとう」と切り出した大岩は、「海斗さん! 俺をNOAHに誘ってくれてありがとうございます!」と”海斗さん”呼びを解禁。「あっという間の1年間だったけど海斗さんがいてくれて、俺はすごい自信になりました。俺と海斗さんは終わらねえ!」と叫んで握手を交わし、そして抱き合った。
遺恨も綺麗に清算され、だからこその“終わり”が際立つ寂しさも混じった空気感。最後は清宮が「後楽園ホールの皆さん、今日はどうもありがとうございます! 俺と陵平、またいつになるか分からないですけど、次やるときは満員のもっと大きな会場でやってやる!」と誓いを立て、「その夢を追い続けながら、もっとプロレスリング・ノアを引っ張っていきます! これからも清宮海斗と大岩陵平を追いかけてください!! すべてはNOAHのために! すべてはプロレス界のために!!」と見事に締めくくった。
後楽園を改めて包む惜別の大・大岩コールのなか、地声で「ありがとうございました!!」と絶叫して、多くの学びを得た方舟マットに別れを告げた大岩。巨大なインパクトを伴う再会のその日を目指して、それぞれの道を歩む。
【清宮の話】「大岩陵平、本当にこの1年間、NOAHで戦ってくれてありがとう。一緒に8ヶ月組んで、敵としてもぶつかり合って、シングルも何度もやって。俺もね、彼と戦って成長させてもらったなって凄く感じますよ。彼が1年間成長してきた姿を凄い見てるから、どこに行っても彼ならもっともっと上のステージに上がるんじゃないかなって思うし、何度も何度も厳しくしたけど、その分ね、這い上がってくる選手だと感じてたんで。あいつの負けん気とか、上に行ってやるという気持ちは本当にこのプロレス界一かもしんないよ。プロレス界の宝だね。またいつになるかわかんないけど、あいつが成長した時に俺がもっともっと上のステージにいないといけないなと思うし、次に彼と出会う時は超満員のもっと大きな会場で戦う姿をプロレス界、ファンの皆さんにお見せします。まあ、本当にプロレス界は何があるかわからないから。本当に絶対なんて言葉はないと思うから。本当にあいつの成長を心から楽しみにしてます。そして、次のGHC挑戦者、マサ北宮。N-1の決着ついてねえな。もちろんマサ北宮は、昔から何度も、苦しい時から何度も何度も、お互い苦しい状況から這い上がってきた、道場から這い上がってきた仲だ。必ず俺がマサ北宮を倒して、もっとNOAHを高いステージに持っていきます。プロレスリング・ノアを俺がもっと上に持っていきます!」
【大岩の話】「まずはNOAHファンの皆さん、1年間応援ありがとうございました。皆さんの応援のおかげで自分の120%の試合がいつも出せました。そして、NOAHのレスラー全員、これで終わりじゃないぞ。俺はいつでもここの頂を狙ってるぞ。これからも俺から目を離すなよ。そして、海斗さん。本当に本当にありがとうございました。海斗さんに誘ってもらってNOAHに来た時は、自分がどういうレスラーになるのか、どんなレスラーになりたいのか、全然わからないままここに来ましたが、海斗さんのおかげで俺のなりたいレスラー像がハッキリしました。まだその理想にはほど遠いので、まだまだ自分は修行の身ですけど、あなたのおかげで成長の鍵になったことは間違いないです。ありがとうございました。最後に1つ。俺の目標は新日本プロレスのトップ、IWGP世界ヘビー級を獲ることだ。それだけは胸の奥にずっと秘めて、リングで戦ってるぞ。でも、今日はしっかり休んで、今までNOAHで1年間あったことをしっかり思い出して、次の自分の糧にします。本当にお世話になりました。ありがとうございました(深々と一礼)」
