最近、スキマ時間を使って気軽に稼げるとうたう副業に関する詐欺が増加しているという。

 国民生活センターによると、全国の消費生活センターなどに寄せられた簡単な作業をうたう副業に関するトラブルの相談は、20年度は1341件、21年度は2398件、22年度は2793件、2023年度は3694件と、毎年右肩上がりに増加。今年度も7月末までで950件と前の年の同じ時期のおよそ1.3倍に増えており、相談者の約8割が女性だそうだ。

 その手口だが、SNS広告などで見つけた副業サイトで「“いいね”を押すだけ」「スタンプを送るだけ」「スクリーンショットを撮るだけ」などの簡単な作業で稼げるという触れ込みで副業を募集。応募すると、高額報酬を得るにはまず振り込みをするよう指示されて振り込んだが、その後もいろんな振り込みをさせられ、結局、高額報酬は得られなかった、といったものだ。

 実際の相談事例にはこうあった。

《子育てしながらできる副業を探していて、SNSで「動画SNSを見るだけで報酬を得られる」という広告を見てアプリ経由で申し込んだ。指示通りにタスクをこなし数百円を受け取った時点で「高額報酬のタスクがある」と誘われ、指示されたアプリに登録し、指示された1万円を支払った。4人1組でチームになり、全員同じデータを入力すると、事前に支払った1万円に報酬を上乗せした1万数千円が振り込まれた。次に3万円を振り込み、データを入力した後で「あなたのミスでチーム全員が損をした。その処理費用に15万円が必要」と言われため指定された口座に振り込んだ。さらに「次のタスク完了で戻ってくるから」と言われて約40万円を口座に振り込んだ。タスクは完了したが報酬等を引き出すためにはさらに約70万円が必要と言われ、そこでおかしいと気づいた》(30代女性)

国民生活センターは、簡単に稼げることを強調する広告は詐欺の可能性があるので鵜呑みにしないよう注意喚起しています。まずは、相手方に安易に個人情報を開示しないこと。お金を稼ぐはずが、振り込みを求められたら、消費生活センター等に相談するようにアドバイスしています」(生活情報誌ライター)

「おいしい話には裏がある」と肝に銘じたい。

(鈴木十朗)

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