レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、チーム内での“No.1ドライバー”と“No.2ドライバー”の序列は明確であるとして、セルジオ・ペレスが今季マックス・フェルスタッペンのサポート役を務めることを「100%理解している」と説明した。
シーズン後半戦に差し掛かり、ドライバーズチャンピオンシップでは首位フェルスタッペンに対してマクラーレンのランド・ノリスが62ポイント差で追い、コンストラクターズチャンピオンシップでは首位レッドブルにマクラーレンが8ポイント差に迫るという状況でアゼルバイジャンGPを迎えた。
マクラーレンはチーム内での交戦規定を定めた“パパイヤルール”をどう適用するのか、ノリスに対してチームメイトのオスカー・ピアストリがどのようにサポートするのか、という点については未だ議論が続いている。
アゼルバイジャンGPの前にピアストリは、機会があればノリスを助けると明言したが、予選ではピアストリが2番手につけたものの、ノリスがまさかのQ1落ちを喫したため、今回のレースではパパイヤルールの適用はなさそうだ。
一方でレッドブル勢はペレスが4番手、フェルスタッペンが6番手と上位グリッドに2台を送り込んだが、ホーナー代表はペレスがチーム内での立場を理解していると考えている。
ペレスは今季苦戦を強いられてきた。サマーブレイク中にはレッドブルから放出されるのではないかとの憶測も流れてきたが、シーズンの残りレースもチーム続投が決まった。
フェルスタッペンが初のF1タイトルを獲得した2021年アブダビGPで、ペレスがチームを助けるためメルセデスのルイス・ハミルトンを抑え込んだことは有名な話だが、ホーナー代表は今年も同様のことを期待しているようだ。
フェルスタッペンを先行させるようにペレスに対してチームオーダーを出すか? とSky Sports F1に訊かれたホーナー代表は、次のように答えた。
「他のドライバーがどこにいるかによるね」
「チームオーダーは常に議論の的になるが、チェコ(ペレス)はシーズン終盤までマックスをサポートし、もちろんコンストラクターズ(タイトル)に貢献するため、自身の役割と仕事を100%理解している」
「2021年のアブダビGPを思い出せば、チェコがチームプレイヤーであることが分かる。我々としてのゲームプランはいたってシンプルだ。最後の数周で頭痛の種を何とかしてくれると良いね!」
前述の通り、マクラーレンはコンストラクターズチャンピオンシップでレッドブルとの差を縮めている。ここ数戦ではピアストリとノリスが2台でポイントを稼ぐ中、ペレスは厳しい状況が続き、レッドブルとしてはフェルスタッペンの孤軍奮闘状態だった。
しかしペレスはアゼルバイジャンGPを大得意としており、他のどのドライバーよりも成功を収めている。
なぜペレスがアゼルバイジャンGPを得意としているのか訊かれたホーナー代表は「全く分からない」と答え、次のように続けた。
「高速ストレートにバリア、90度コーナーがあるからというのは理屈に合わない。しかし、彼はいつもここでマジックを見せてきた。アゼルバイジャンで24戦のチャンピオンシップをやったら、倒すのはかなり難しいはずだ。重要なのは、その勢いをレースに持ち込むことだ」
これまではフェルスタッペンとペレスの差が指摘されてきたことも多かったが、2週間前のイタリアGPではレッドブルは2台揃って苦戦。フェルスタッペンが苦しむ様はチームのペース低下を浮き彫りにしたが、ホーナー代表はこれによってペレスが新たな信念を得たと感じているようだ。
「あれ以来、彼は1.5インチ(3.8cm)背伸びして歩いているよ。『見て、僕だけじゃない』といった感じだからね」とホーナー代表は語った。
「彼にとっては、心理的にとても良いことだったと思う。理論的には、こことシンガポールは彼の得意とするサーキットふたつのはずだと我々は常に分かっていた。彼が力強い週末を過ごせることを願っている」