実際に遭遇した老害エピソードも
若者に“怒り心頭”のお年寄りの皆さま。だが一方で、若い世代からの老害批判を「仕方ない」と受け入れる高齢者も多かった。こうした人々は、むしろ「自分たちの世代が異常だった」とも感じている人も少なくないようだ。
「老害って言われるのも仕方ないわよ。昔は働き詰めが美徳だったけど今は違う、若い人だってそんなに出しゃばっているわけじゃない。言い過ぎたら言われたほうもいい気はしないから、上の世代も反省したほうがいいんじゃない(笑)。そういう“頑固オヤジ”みたいなのが減っていくのはいいと思う」(76歳女性・主婦)
「昔は先生に叩かれたり、休日返上で働かされたりしたけど、それがいい時代だったとは全然思わない。今とは価値観が全然違うし。逆に、こっちが若い人から教わることのほうが多いんじゃないかな。今は情報化社会だし、みんな賢いと思いますよ」(73歳女性・主婦)
こちらの女性は母娘で巣鴨を訪れていたのだが、40代の娘は、実際に「老害」と遭遇したエピソードも語ってくれた。
「妊娠しているころ、バスの優先席に座ったんだけど、そしたらお婆さんが『何で若いのが座ってんのよ!』『そこはお年寄りの席でしょ!』って怒鳴ってきたことがあって、そのときは『老害だ!』って思いました。
あと、今の若い子のほうが圧倒的にいい子ですよ。若い人にいろいろ言ってくるおじさんは、『自分たちが学生のころは未成年でタバコ吸っていた』とか口にしますけど、私の子どもが通っている学校では、タバコで怒られる子とかいません」(45歳女性・主婦)
さらに調査を続けると、直接遭遇したわけではないが、「老害だと思う人」について意見が飛び出す場面も……。
「私も高齢者だから老害なんて言われたら傷つくけど、二階俊博は老害だと思う(笑)。麻生(太郎)さんも85歳で“キングメーカー”とか言われているけど、もういい加減若手に譲るべきよ。ああいう人たちに対しては、『同世代でも頑張っている』とか全然思わない」(83歳女性・主婦)
「私はサークルに入っているんだけど、周りの高齢者はみんないい人。でも、町内会の人とかは結構嫌な人が多いかな。ちょっとしたことですぐ周りに噛みつくとか、そういう人は老害って言われても仕方ないかもね。
こういうのは、お孫さんがいるかいないかで分かれる気がする。やっぱりお孫さんがいると、子どもや孫の世代とも接するし、下の世代への物わかりもよくなって優しくなるから」(84歳女性・主婦)
老害批判への反発・理解とさまざまな意見が飛び出した今回の調査だが、68人中41人は「老害批判も仕方ない」といった理解を示す意見で、18人が「納得できない」といった反発する意見、9人が中立的な立場だった。
共通していたのは「時代が変わった」という認識だった。今後さらに時代が変わり、現代の若者が高齢者となったとき、世代間の認識はどのようになっているのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班