マクラーレン、ピアストリの2勝目に僚友ノリスが50%貢献と説明「助けがなければ違う展開になっていたかも」

 F1アゼルバイジャンGPでは、マクラーレンのオスカー・ピアストリがキャリア2勝目をマーク。これについてマクラーレンのアンドレ・ステラ代表は、決勝レース中にチームメイトであるランド・ノリスが重要な役割を果たしていたと考えている。

 第1スティントでピアストリは、首位に立つフェラーリのシャルル・ルクレールを追いかけていた。すると14周目に3番手につけていたレッドブルのセルジオ・ペレスがピットイン。ピアストリをアンダーカットしようと試みた。

 マクラーレン陣営はレッドブル陣営の動きに即座に反応するのではなく、2周後の16周目までピットインを引っ張った。これによりピットストップ後は、新しいタイヤで飛ばすペレスに先行されてしまうのではないか……とも思われた。

 しかしピアストリがレッドブルのマックス・フェルスタッペンとのタイトルを争うノリスをサポートするのと同様、アゼルバイジャンGPではノリスがピアストリを援護した。

 前日の予選で黄旗の混乱もありQ1落ちを喫していたノリスは、ハードタイヤで15番手からスタートし、長めの第1スティントを走っていた。

 先にピットインしたペレスがノリスのすぐ後ろでコースに戻ったことで、レースエンジニアの指示通りノリスは2周にわたってペレスを抑え込もうと試みた。16周目のターン1ではペレスが先行を許したものの、ノリスの貢献もあり、ピアストリはペレスの前でピットアウトすることができた。

 援護を受けたピアストリはインラップとアウトラップで飛ばし、その後ピットインした首位ルクレールとの差を詰めた。そして20周目にはターン1でルクレールのインに飛び込みオーバーテイク。ピアストリは首位に立つとルクレールを抑え込み続け、キャリア2勝目を挙げた。

 マクラーレンのステラ代表は、このノリスの行動がピアストリの勝利に繋がったと考えている。ピットストップでペレスの後ろに下がってしまうと、後方乱気流でタイヤの消耗が激しくなり、ルクレールを抜くチャンスを失ってしまう可能性があったからだ。

「ペレスはアンダーカットしようとしていたが、ランドの助けがなければペレスはピットに入り、オスカーの前にとどまることができたはずだ。そしてレースは全く違う展開になっていたかもしれない」とステラ代表は言う。

「だからオスカーの勝利の50%はランドと分かち合ったモノだと思う。週末の前に、どちらかを優先するといったような会話をしたこともあった、しかし我々は毎週末、チームのために最大限の結果を出そうと努力している。一方のドライバーに助けが必要なら、もう片方のドライバーがそうすることになる」

 またステラ代表は、ターン1でのピアストリのルクレールに対するレイトブレーキングについて、当初は曲がりきれずランオフエリアに回避することになると思っていたと認めた。

「ライブで見ていて彼が(ルクレールのインを)差したのを目にした時、ブレーキングポイントを遅らせていたから、直感的に彼は長いブレーキングが必要になると思っていた」とステラ代表は言う。

「彼はかなり遠くから飛び込んだが、それでいて(ターン1の)エイペックスを通過した。だから驚いたよ。でもオスカーは常にその能力で我々を驚かせてくれるし、今回は精神的な強さも見せてくれた」

「彼は、経験豊富でこのようなプレッシャーにさらされたことがあり、片目でミラーを見て、もう一方の目でブレーキングポイントを見ることができるドライバーみたいだった」

 ピアストリの優勝とノリスの4位入賞により、マクラーレンは10年ぶりにコンストラクターズチャンピオンシップで首位に浮上。前年度覇者のレッドブルに対して20ポイントのリードを築いた。

「マイルストーンとしては、間違いなく大きなモノだ」とステラ代表は説明した。

「昨シーズン開幕当初は最下位だったのが、今ではランキング首位に立っているということを忘れてはいけないからね」

「チーム全体のハードワークと質の高い仕事、株主やパートナー、ファンのサポートのおかげで、このようなことが可能になった。一丸となったからこそ成し遂げられたのだ」

 なおマクラーレンはアゼルバイジャンGPでの勝利の代償として、クルーの一部がレース終了前にピットレーンに入ってしまったことで5000ユーロ(約78万円)の罰金を受けることになった。