ノリス、11ポジションアップの4位+FLでフェルスタッペンとの点差わずかに縮める「今回これ以上のことは望めない」

 マクラーレンのランド・ノリスは、F1第17戦アゼルバイジャンGPで15番グリッドと厳しい位置からのスタートを強いられたが、結果的には4位でフィニッシュ。望外な結果を得られたことで本人も満足感があるようだ。

 ノリスは今回の予選で、不運なタイミングでのイエローフラッグに泣き、満足なアタックができずにまさかのQ1敗退。予選17番手、決勝はパワーユニット交換のドライバーもいたため15番グリッドからのスタートとなった。タイトルを争うポイントリーダーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)も6番手と苦戦したとはいえ、今回でまたチャンピオンシップのリードを広げられてしまう可能性があった。

 ミディアム→ハードと繋ぐ1ストップが主流となった今回のレースにおいて、後方スタートのノリスは上位陣の逆をつくハード→ミディアムというタイヤ戦略をとった。これによりノリスは、早めにピットストップしてハードタイヤに交換したフェルスタッペンやジョージ・ラッセル(メルセデス)らの前に立ち塞がった。

 そのノリスもレース中盤は、自身と同じ戦略だったアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に蓋をされていた格好だったが、アルボンがピットインしてからはクリーンエアで走ることができ、残り14周というところでピットへ。十数秒前にいるフェルスタッペンを追いかけるレース終盤となったが、その差はみるみる縮まっていき、残り3周でオーバーテイクすることに成功した。

 この時点で6番手だったノリスだが、セルジオ・ペレス(レッドブル)とカルロス・サインツJr.(フェラーリ)が接触でリタイアしたことにより、4位でフィニッシュ。さらにファステストラップの1点も獲得したことで、5位に入ったフェルスタッペンとのポイント差を62から59に縮めることができた。

「今日はこれ以上のことは望めないと思う。順当にいくならトップ4チームのドライバーが上位に入るから、僕は8位でも満足だと思っていたんだ」

 ノリスはそう振り返る。

「スタートも戦略も良かった。もう少し早くアレックス(アルボン)を抜きたかったけど、彼にはやられたよ。アレックスがピットに入ってからは、僕のペースはコース上でも最速で、レース序盤にハードタイヤを履いていた時でも、良いラップを刻んでマシンのポテンシャルを引き出せていた」

「マシンは本当に速かったから、昨日の馬鹿げたイエローフラッグには余計にイライラさせられることになったよ」

 レース終盤までハードタイヤでフェルスタッペンを抑え込み、ピットイン後はピット1回分のロスタイムを挽回してフェルスタッペンを追い抜いたノリス。フェルスタッペンの前でフィニッシュしたことに驚いたかと問われると、こう答えた。

「少し驚いたよ」

「15番手からスタートしたときは、彼に勝てるとは思っていなかった。実質的には20秒以上の差があったけど、彼の前で(後続に対して)ギャップを作ってからピットに入り、その後に彼をオーバーテイクすることができた。そんなことは予想していなかった」

 今回のレースはノリスのチームメイトであるオスカー・ピアストリが勝利を収めたが、ノリスはピアストリの優勝にも一部貢献している。

 というのも、レース序盤に2番手を走っていたピアストリは、早めのピットインを選択したペレスにすぐに反応しなかったため、アンダーカットされてしまうリスクがあった。しかしペレスの前にはノリスが立ちはだかって抑え込んだため、2周後にピットに入ったピアストリはペレスの前でコースに復帰することができた。

 当時の状況を、ノリスはSky Sports F1に対してこう振り返った。

「あの時はまだアレックスの後ろで引っかかっているような状態だったから、できることはあまりなかったんだ」

「ペースを落としはしなかったけど、タイヤがオーバーヒートしないように少しタイヤをセーブしていた」

「そのおかげでオスカーが(ペレスや自分の)前で出れたし、それで優勝の可能性も残った。そこに少しでも貢献できたと知って嬉しかったし、チームとしても必要な仕事だったと思う」

「(自分の)結果は変わらなかったと思うけど、オスカーにとっては結果が変わったと言える。今回はそれが重要だった」

「今日の僕の仕事はオスカーを助けることだったし、その中で1位と4位に入れたのは完璧だった」

 今季は残り7レースであり、ノリスの逆転タイトルに向けては依然として厳しい状況が続く。ただ、仮に残り全てのレースとスプリントでノリスが優勝し、なおかつファステストラップポイントも全て獲得した場合、その全てでフェルスタッペンが2位であっても同点に追い付くことができ、優勝回数の差でノリスにタイトルが転がり込む計算となる。