WEC富士6時間レースを終えたTFスポーツ82号車コルベットの小泉洋史は、第1スティントで見事な走りを見せた。本人はまだまだだと謙遜しつつ、知っているコースなら戦えるという感触も得たようだ。
LMGT3クラスの予選7番手を獲得した小泉は、決勝レースでもスタートスティントを担当。スタートでいくつかポジションを落としたものの、2周目に出動したセーフティカー明けのリスタートでは見事なオーバーテイクを見せた。
その後は最終的に3位となったチーム・WRT46号車BMWやクラス優勝したビスタAFコルセ54号車フェラーリと三つ巴のバトルを展開。6番手で最初のスティントを終えた。
しかし、レース開始から1時間が過ぎ、最初のピット作業を終えたところでまさかのトラブルが発生。スターターのトラブルにより、ガレージインを強いられた。なんとかレース復帰した頃には10周遅れ。勝負権を失ってしまった。
「(富士を走るのが)一年ぶりとはいえ、まあ知ってるコースだけにレースにはなったかなと思います。スタートの混乱でぶつけちゃまずかったもんですから避けながら走っていたら、一回10番手ぐらいまでポジションが下がっちゃったんですけども、ペースが悪くないのは分かっていました」
そう小泉はレースを振り返った。
「落ち着いていけばパッシングできるだろうと。最終的に6番手くらいまで上げられたんですかね」
当初の予定では、第2スティントでは別のドライバーに交代するプランだったという。ただチームは小泉の走りを見てそれを変更したようだ。
だがそこでトラブルが発生。ピットから走り出せずに、そこでレースは実質終了となってしまった。
「終わった今だから言いますけど、最初はダブルスティントではなくて、次のドライバーに交代する予定だったんですけども、チームがやっぱりダブルスティントで行ってくれということで、そのまま自分が行くはずだったんです」
「ピットに入ってガスを入れて、いざエンジンをかけようとしたら、スターターがノット・リアクト。全く反応しませんでした。ステアリングのスターターがダメなときは、センターコンソールにスターターのボタンもあるんですけど、とにかく何をやってもノット・リアクト。日本語で言えば、うんともすんともってやつでした」
「それでガレージの中に入って、修理時間20~30分ぐらいですかね? 実質そこでレースは終了でした」
小泉が第1スティントで素晴らしい走りをしていたのは間違いない。本人はコースを知っている富士では戦えるという感触を持ちつつも、まだまだ上を目指しているようだ。
第1スティントの手応えについて「いやいや、全然です」と小泉は語った。
「やっぱり6番手でしたし、予選も7番手なので。皆さんに比べて、まだまだ自分のスピードもスキルも足りないなというのを感じています」
「そんな中で(富士は)一応マイレージは稼いできたサーキットでもありますので、それで少しは追い上げできたのかなと思っていますけど、ひとつめのスティントでもっと上まで上がれるのが本当の理想でしたから、そういった意味でまだまだだと思っています」
「悔しい気持ちは大きいですが、知ってるコースだとそう差もなくちゃんと勝負になるなと感じまして。F3時代を思い出しました」
スーパーGTのGT300クラスや全日本F3で活躍し、2014年には全日本F3のNクラスでチャンピオンに輝いた小泉。一度はレーシングドライバーを引退しながら、現在はWECで活躍している彼が今後どんな成長を見せてくれるか楽しみだ。