こんにちは。中学生と小学生を持つ、作家・教育ジャーナリストの佐野倫子です。働くお母さんのお悩みについて、一緒に考えていきたいと思います。今月寄せられたのは「都心の新築タワーマンションに引っ越したら、子どもの教育に関して息苦しいほど情報が入ってきて、振り回されてしまう……」というもの。お話を聞いてみましょう。
Q.世帯年収1600万円、正社員でメーカー共働きのアラフォー夫婦です。念願のタワーマンションに転居し、保育園に通う5歳と4歳の娘がいます。最近ママ友との情報共有に疲れてしまいました。ドラマで「スカイキャッスル」を見て、はっとしました。自分たちも外から見たらこんなふうに知らずに視野が狭くなって教育熱心をはき違えているのかもしれないと……。このあたりは習い事ひとつとっても、ハイレベルな分お金もかかります。子どもたちは毎日のようにどこかに通っています。正直、情報がどんどん入ってくるのでぼーっとしていると罪悪感があります。ママ友たちは教育費に糸目をつけません。比べてしまう気持ちもあって、どこかで線をひきたいけれど、情報は大切。仲良くできて嬉しい気持ちがあるのも本当です。この先も長いので不安があり、どのように付き合っていけばいいのか悩んでいます。(港区区在住39歳/ユリさん)
都心ならではの、切実なワーママの悩み
切実なお悩みに、すぐにオンライン取材をお願いしました。ユリさんがお住まいなのは、都心のタワーマンション。保育園の繋がりで、家族ぐるみで休日にお出かけしたり、ママ友だけでたまに飲みにいったり、素敵な関係と言えます。
しかし同じマンションに住んでいても、ご家庭によって優先順位や状況が異なります。ユリさんが悩んでいるのはおもに習い事、受験、英語教育のことでした。それぞれ状況を伺ってみましょう。
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シッターが送り迎えをする家庭も!習い事ゼロでは引け目が…
「ピアノ、バレエはもちろん、フィギュアスケート、サッカー、バスケ、スイミング、絵画教室、合唱……基本的にこのあたりで習えないものはないんだなって感心しています。保育園に送迎を担当するシッターさんが迎えにきて、送っていく人も多いんです。
保育園に夕方まで預けっぱなしの我が家が少数派かも。うちも土曜日にピアノと英語レッスンを入れているんですが、子どもが『土日はおうちでママとパパと遊びたい』と言い出しました。その気持ちもわかるんです。でも平日にシッターさんを雇う余裕はないし、習い事ゼロっていうのはここだけの話、焦りや引け目みたいなものを感じてしまうので、ちょっと無理して土曜日に通っています」(ユリさん)
なるほど……同じ働く母として、ユリさんのお気持ちがよくわかります。そして同時に、少々周囲の視線に囚われているようにも感じました。
はっきり申し上げて、ユリさんが住む都心のタワーマンションは日本でも相当恵まれたご家庭がお住まいだと推察します。世帯年収が1600万円のユリさんは、間違いなく高所得の部類ですが、上には上がいるもの。そのなかの「常識」は世間の「非常識」かもしれません。
無理して合わせる必要はないはず。習い事は、親子がハッピーになれる範囲で通えば十分です。おうちでゆっくりしたいというお子さんの気持ちをキャッチできたユリさんは、素晴らしいお母さんだと思います。その時点で話し合って選んだことは、全部正解ではないでしょうか。周囲に合わせる必要はありません。