動画コンテンツCLUTCHMAN TVでお馴染みの、スカジャン研究家として知られる松山達朗さんと松島親方によるスカジャン講座「スカジャンクロニクル」。今回は特別に誌面版として2024年秋に注目すべき新作のスカジャンを解説するぞ。
今季注目のスカジャンを2人が解説!
右/スカジャン研究家・テーラー東洋企画統括 松山達朗さん スカジャン研究家として知られ、90年代に世界初のスカジャン専門書を出版した第一人者。現在はスカジャンの老舗「テーラー東洋」の企画を担当し、第一線で活躍し続けている。 左/Lightning / CLUTCH Magazine / 2nd統括編集長 松島親方 3誌統括編集長且つ物欲番長。「旧いは偉い!」と、長く残るものを勝手にヘリテージ認定して手元に置きたくなる。現代のプロダクツでも50年後に残るものを探すことが趣味である。
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“JAPAN MAP” × “GOLD DRAGON” Early 1950s Style Acetate Souvenir Jacket
濃密に刺繍されたジャパンマップ。作り手の松山氏も素晴らしい構図と色遣いと絶賛。富士山や五重の塔、桜といった日本らしいモチーフを、ヴィンテージと同じ手法の刺繍で描き上げた逸品。[ TT15542-119 / 7万1500円 ]
松島親方(以下親)/このジャパンマップ。構図がすごく濃縮された密度になっていますね。
松山達朗さん(以下松)/元となるヴィンテージの刺繍も密度がすごく、素晴らしい色遣いなんです。この黒いボディにゴールドの袖や、赤白のパイピング、そして緑のリブ。元となるヴィンテージを所有しているからこそ、こういう絶妙な色味を再現できるんです。
この刺繍をよく見ていただくと、この黒いベースに対して、日本列島は白を基調に刺繍されてるんですよ。それに対して、この五重の塔や鳥居なんかはカラフルな刺繍糸を使っているんですよね。
親/桜なんかもね、アクセントとしてすごい効いてますね。
松/雪が積もった富士山、あと松と桜。日本の情緒を感じさせるモチーフが盛り沢山なんです。
親/日本らしさを全部入れちゃったみたいな感じですね。この鳥居、海の中に立っている?
松/そうなんです、広島にある厳島神社です。刺繍に呉(KURE)とありますので、恐らく広島の米軍基地内もしくはその周辺で販売されていたものと予想されます。
親/広島のシンボルですもんね。いや、素晴らしいですね。あと五重の塔の色遣いも、こんな鮮やかなもの見たことないです。
松/あとジャパンの文字がブロック体というのも珍しいんです。胸側もよく出来ていて、デフォルメされた龍と虎が描かれています。
親/ちょっと可愛らしい感じ。
松/こういったデフォルメというのは、刺繍職人のセンスが一番出てるものなんです。愛嬌のある龍と虎が向かい合って吠え合うのも珍しいですよ。
裏面の胸の刺繍にある龍と虎は、表面と同じ型で刺繍されているが生地に合わせ絶妙に色糸を変えている。また背中は凝縮された表面と異なり、日本画独特の余白使いを意識した龍の刺繍となっている。