〈悪質押し買い業者のヤバすぎる手口〉「不用品なんでも買い取ります」のウソ…ツーブロックのヤカラが来訪、日用品には見向きもせず「貴金属かブランド品ないですか?」買い取るまで帰らず消費者庁も注意喚起

「ご自宅にある不用品なんでも買い取ります」という謳い文句で家を訪れ、貴金属やブランド品などを安く買いたたく押し買い業者。東京都消費生活総合センターによると、押し買いに関する相談は過去5年間で4000件以上にのぼるという。そして今狙われているのは、高騰している不動産を狙った押し買いだ。実際にマイホームを安価で買いたたかれるケースが首都圏で多発している。悪質な押し買い業者の手口とは、いったいどのようなものなのか。

家にズカズカ上がってきて「ブランド品があれば買い取れますよ」

8月中旬、首都圏在住のAさん(30代主婦)はポストに投函されていた1枚のチラシを手に取った。チラシにはでかでかと「ご自宅にある不用品なんでも買い取ります」と書かれており、ちょうど近々引っ越しする予定だったAさんは、ものは試しとチラシの買い取り業者に電話をしてみたという。

「リサイクルショップでは売れないようなノーブランドのベッドや洋服、子どものぬいぐるみなどでも買い取ってもらえるのか尋ねてみました。捨てるのもお金がかかりますし、少額でもお金になるなら、と思ったんです。

買い取り業者からは『ノーブランドのベッドだとしても、マットだけなら買い取り可能な場合もありますし、服やぬいぐるみも買い取り可能なので、査定だけでもいかがですか?』と言われました」

無料査定かつ自宅まで出張してくるとのことで、手間もかからないだろうとAさんはその業者に依頼することに。後日、2人の若い男性が自宅を訪ねてきた。

「ツーブロックの黒髪短髪の男性と、体格のいい作業着の男性で、予想以上に強面というか怖い印象でした……。脅されたわけではないのですが、『物はどれですか? 部屋入りますよ』と私の返事も待たずにズカズカ上がっていき、その時点で嫌な予感がしました」

当初予定していたベッドを査定してもらった際も、Aさんには違和感しかなかったという。

「ベッドを見るために寝室に案内すると、部屋の入口からベッドをチラ見して『どちらで買いました?』と尋ねられました。ネットだと答えると、『それは買い取れませんわ。IKEAとかで使用感がなければギリギリ買い取れるって感じですわ』と明らかに興味がない様子でした。

ぬいぐるみと洋服も同様で、買い取れないと言われました。正直、最初の話とだいぶ違うなと思いましたが、もう売りたい物もないので帰ってもらうよう告げました」

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突然自宅を訪問し、脅してくる極めて悪質な業者も 

業者の男性らは「ネックレスとかの貴金属類とか、使ってないブランド品があれば買い取れますよ』と言い出し、帰るどころか勝手にリビングに移動したという。

「ギョッとして慌てて追いかけましたが、短髪男性は『あそこの一眼レフみたいなカメラなら買い取れますよ』とか『あのハンドバッグはブランド品ですか? それなら買い取れます』などと繰り返していました。私が何度も『もういいですから』と言っても、帰ろうとはしませんでした。

冷静さを欠いた私は、失っても一番惜しくない一眼レフを売ろうとさえ思い始めていました。運よく旦那が仕事から帰ってきたので売りませんでしたが、あのままだったら言い値で売っていたと思います……」

Aさんの夫が帰ってくると、業者の男性らは「売りたい物もないようですし、帰ります」と言って引き上げていったが、Aさんはあわや一眼レフカメラを手放すところだった。これは典型的な押し買い業者の手口だと、東京都消費生活総合センターは解説する。

「チラシやネットのほかに、突然自宅を訪問する業者もいます。『いらないお皿でも、なんでも買い取ります』などと言って家に上がり込むと、長時間居座り、『(貴金属や宝石を)見せるだけでも見せてください』と言って持ってこさせます。

なかには18金のアクセサリーを1000円で、ブランド腕時計を3000円などの安価で売ってしまったという方もいます。何も知らなそうな高齢者ならより安価で買い取るなど、価格は人を見て判断しています」

ほかにも、売ると言ってない貴金属を持ち帰られた窃盗事件や、業者に脅されるケースもあるという。

「今まさに家に居座られ、怒鳴られたり、机を叩かれたりしているということでしたら、業者から見えないところに行って、すぐに警察に通報してください。こうした押し買いは特定商取引法違反にあたります。もう売ってしまったという方は、センターに相談していただくのが一番早いです。訪問購入も8日以内であればクーリング・オフできますので、そういった相談にも乗っています」

しかし、クーリング・オフですべての商品が戻ってくるわけではないというのが現実だそうだ。

「たとえば、業者側が10点買い取ったのに7点だけしか返さず、残りの物はないと言い張る場合もあります。また、警察に逮捕された場合でも業者が『品物はもうない』と言い張ってしまうと、取り返すことは現実的には難しいです。とにかく悪質業者を家に入れないことが大切です」(同前)