ハースF1のヒュルケンベルグ、セーフティカーが出ると”思い込む”失態で9位を逃す。小松代表苦言「目の前のことに集中しなければいけない」

 ハースF1の小松礼雄代表は、ニコ・ヒュルケンベルグがF1アゼルバイジャンGPの決勝レース終盤にポジションを落とし、入賞を逃した時の状況について説明した。曰くヒュルケンベルグは、カルロス・サインツJr.(フェラーリ)とセルジオ・ペレス(レッドブル)のクラッシュによってセーフティカーが出動すると考えて減速した時に、ポジションを落としてしまったという。

 レース終盤、ヒュルケンベルグは10番手を走り、イギリスGP以来となる久々の入賞が近づいているように見えた。しかし49周目、ウイリアムズのフランコ・コラピントに抜かれ、11番手に後退した。

 その翌周、サインツJr.とペレスのクラッシュが起きた時にチームメイトのオリバー・ベアマンとメルセデスのルイス・ハミルトンにもオーバーテイクを許し、前方の2台がストップしたものの11番手のままフィニッシュすることになった。

 この時の状況は国際映像にも映し出されていなかったが、当のヒュルケンベルグは、次のように説明した。

「最後の数周で問題に直面してしまった。事故が起き、油断してしまったんだ」

「ストレートで大事故が起きたから、すぐにセーフティカーか赤旗が出されると思ったんだ。しかし、グリーンフラッグが振られた。そこでポジションを落としてしまったんだ」

「コース全体がデブリで覆われていて、前のクルマに隠れて見えなかった大きな破片を踏んでしまった」

 ハースの小松代表も、当時のことを次のように振り返った。

「イエローフラッグが出た後、彼は何かにぶつかって、動揺していました。しかしイエローフラッグはターン3の手前で終わったんです」

「彼(ヒュルケンベルグ)は『これはセーフティカーだ!』と言い、完全に動揺していました。その間にハミルトンとオリー(ベアマン)が抜いていったんです」

「これは不運じゃないです。私としては、これ以上話すことはないですよ」

 小松代表は、クラッシュを見て、自身としても赤旗になると思っていたと明かした。しかしヒュルケンベルグは、目の前のことにもっと集中すべきだったと語った。

「私も赤旗になると思っていました。正直に言って、ニコが犯したようなミスで、私も『これは赤旗になるだろう』と思ってしまったんです」

 そう小松代表は明かす。

「でも私は、そうなるべきだけど、私がどう思うかは関係ない……目の前のことに集中すべきだという風に考えています。ニコは、セーフティカーが必要だと思っていたようです。それはいいんですが、とにかく目の前のことに集中しなきゃいけないんです」

 ヒュルケンベルグが後退したことで、ハースは9位2ポイントを失うことになった。代わりにベアマンが10位に入ったことで1ポイントを手にしたものの、熾烈な戦いとなっている中団グループの中では、この1ポイントが後々大きな意味を持ってくるかもしれない。