各地での演説会やテレビ討論会がスタートし、過去最多となる9人の立候補者が熱い戦いを繰り広げる自民党総裁選。一時は「大本命」とされた小泉進次郎元環境相はここに来て「解雇規制見直し」発言や、討論会での的を射ない発言で失速、上位2人による決選投票に黄色信号が灯っている。そして、進次郎氏の“自爆”により息を吹き返しつつあるのが、進次郎氏の後ろ盾を嫌う、あの長老だという。
「これほど論戦ができないとは…」自民党内からあきれ声
自民党総裁選で、一時は本命候補だった進次郎氏。
「告示直前には、複数のメディアが進次郎氏を総裁候補の筆頭とみて、進次郎氏の首相就任に備えた紙面や放送の計画を立てていました。
党員票で他の候補を圧倒する石破茂氏、進次郎氏の2人が決選投票に進み、国会議員票の比重が重い決選投票では、『石破嫌い』の議員が多いため進次郎氏が優勢、というシナリオを想定していたのです」(全国紙政治部記者)
しかし、総裁選の論戦が進むにつれ、進次郎氏の勢いはみるみる失速していく。
9月6日の出馬会見で「日本経済のダイナミズムを取り戻すために不可欠な、労働市場改革の本丸である解雇規制の見直しに挑みたい」と発言したものの、国民からは「解雇されやすくなってしまう」と不安の声が続出。「緩和ではなく、自由化でもない」とトーンダウンを余儀なくされた。
そのほかにも、討論会でG7サミットでの発信について聞かれた際に「カナダのトルドー首相が就任した年は43歳。私は今43歳」となぜか「就任同い年」をアピールするなど、ピントのずれた回答が目立っている。
永田町からは「これまでも『進次郎構文』がネタになってきましたが、これほど論戦ができないとは……。これで総理になられても、予算委員会がもたない。他の候補者は今後も、進次郎氏の“自爆”に期待するのでは」(自民党関係者)との声が漏れる。
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「大本命」から決選投票にも残れない候補に?
こうした失態もあってか、進次郎氏の強みであったはずの党員票の伸びもイマイチの様子だ。
読売新聞が党員らに行なった調査では、石破氏が97票、高市早苗氏が94票を獲得する情勢で、進次郎氏の党員票は60票と石破・高市両氏の3分の2にも満たないという結果になっている。
「高市氏は『総裁選で高市さんに投票したいから自民党員になっている』という人も多数いるくらい、根強い人気がある」(自民党関係者)ことも、高市氏が進次郎氏を上回る要因となっている。
そして、これらの党員票に国会議員票を足しても、石破氏と高市氏が123票、小泉氏が105票で、小泉氏は現状、上位2人による決選投票にも残れない3位に甘んじている。
この失速ぶりに、自民党内からは「2012年の総裁選で本命の1人だったのに、福島第一原発を『福島第一サティアン』と発言し、一気に支持を失って3位に沈んだ石原伸晃氏を思い出す」「国会議員は党員票の動向や、国会での論戦に耐えられるかを気にする。斎藤健経済産業相らが新たに支持を表明する動きもあったが、次第に国会議員票もはがされていくのでは」との声も漏れる。