物議を醸すペナルティポイント制度、今季終了後に見直し? FIAがオープンな姿勢示す

 ペナルティポイントの累積により、2024年のF1アゼルバイジャンGPを出場停止となったハースのケビン・マグヌッセン。この件をきっかけとして、ペナルティポイントの制度について話し合いが行なわれるようだ。

 マグヌッセンは今シーズン度々ペナルティポイントを加算されてきたが、第15戦イタリアGPではピエール・ガスリー(アルピーヌ)と接触したことで2点がさらに加算。これで累計12点となり、次戦出場停止処分が科されることとなった。これは現行システム採用後初めて出場停止となった事例だ。

 しかしマグヌッセンが出場停止となったことについて、ライバルのドライバー達からもペナルティポイントのシステムに対する批判的な声が挙がった。出場停止の最後の一押しとなったイタリアGPで接触した相手の、ガスリーすらそのひとりだ。

 マグヌッセンが出場停止となったアゼルバイジャンGPのドライバーズブリーフィングではこの件が議題にあがり、FIAはドライバーの意見を聞いたあとに、現在のルールを見直す可能性について、柔軟な姿勢をとるようになったという。

「ああ、僕は彼らに前に進むように頼んだよ」と、ガスリーはドライバーズブリーフィングでの会話について語った。

「スポーツとして、誰かがこういった形でペナルティを受けるのを見るのは嫌だからね。それに、少し厳しすぎるという考えもあったんだ」

「そして、彼らは見直すこと、そして前進することに柔軟な姿勢をとっているのは間違いないと思う。それが一番大事なことだ」

 ただmotorsport.comの調べでは、ペナルティポイントのシステムの見直しプロセスは、今のところF1の利害関係者によって整備はされていないはずだということも分かっている。

 まず最初に、F1のスポーツ諮問委員会(フォーミュラ・ワン・マネジメント、FIA役員、各チームのスポーティングディレクターで構成される)がこの件について議論する必要がある。

 そしてスポーツ諮問委員会での話し合いは、2024年シーズンが終了したあとに行なわれるようだ。FIAとしては、見直しによって競技全体を損ねることは避けたいため、シーズン中のルール変更をしない方針となっている。

 もしスポーツ諮問委員会でペナルティポイント制度の見直しが必要と結論付けられれば、ルール変更の採択に向けて、FIAによってF1のステークホルダーに提示されることになる。

 なおmotorsport.comの調べでは、FIAはアゼルバイジャンGPのブリーフィングで、ドライバー達に対して各グランプリで科されるペナルティポイントを分析した結果、平均2.2ポイントだと伝えていたという。そしてマグヌッセンが今年スチュワードから何らかの裁定を下された回数は17回。これらの数字を照らし合わせることで、ドライバーの理解を促したようだ。

 なお現行のペナルティポイントルールは、2022年と2023年シーズンの全ての競技インシデントに基づいて微調整がされている。その結果、現在ではトラックリミット違反などの軽微な違反ではペナルティポイントが付与されないようになっている。