ザウバー/アウディは来季F1ドライバーとして、現在FIA F2参戦中のマクラーレン育成ドライバーであるガブリエル・ボルトレトの獲得を検討しているとされている。
これに対してマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、ザウバーからボルトレトへのオファーを邪魔するつもりはないと明言。ただ、完全に手放すつもりはなく、“レンタル”にとどめたいと考えているようだ。
2026年からアウディワークスとなることが決まっているザウバー。新時代へ向けて重要な1年となる来季に向けては、既にドイツ出身のベテランドライバーであるニコ・ヒュルケンベルグの獲得を発表しているが、もうひとりに関しては未発表という状況だ。
ボルトレトの他に、ザウバーの候補者リストに並んでいると言われているのが、現在もチームに所属するバルテリ・ボッタスやリザーブドライバーのテオ・プルシェール。そして2024年シーズン後半限定でウイリアムズからF1に参戦し、キャリア2戦目にして入賞を果たしたフランコ・コラピントを起用する可能性も否定できない。
F4やフォーミュラ・リージョナルでは際立った成績を残すことはなかったボルトレトだが、昨年はFIA F3でルーキーチャンピオン。今年はF2に昇格し、バクー戦でランキング首位に躍り出るなど、マクラーレンにとって将来有望の若手ドライバー筆頭だ。
ただマクラーレンは現在、オスカー・ピアストリとランド・ノリスという強力な布陣を揃えており、どちらとも長期契約を結んでいる。そのため、基本的には少なくとも2027年までF1シートが空くことはない。
そのためステラ代表は、ボルトレトを“飼い殺し”にするのではなく、他のF1チームに貸し出すことについても前向きだ。
「もし(ザウバーCTOである)マッティア・ビノットが私のところに来たら……あれほどの才能があるのだから、F1でのチャンスが与えられることを止めるつもりはない」とステラ代表は言う。
「同時に、彼をマクラーレン・ファミリーに留めておく手段を見つけることに、我々が興味を持っているのは間違いない。将来、マクラーレンにとって重要な存在になり得る才能の持ち主だと思うからね」
「我々はふたりのドライバーで長期的に安泰だ。これ以上嬉しいことはない。だが間違いなく、我々は彼をマクラーレン・ファミリーにとどめたいと思っている。解決策は見つかると確信している」
ブラジル出身の19歳、ボルトレトは直近のF2成績では、18レース中17戦でトップ10フィニッシュ。モンツァ戦のフィーチャーレースでは幸運もあり、“テールトゥウィン”という離れ業をやってのけた。
そしてステラ代表は、ボルトレトのパフォーマンスだけでなく、レースへ向かう姿勢にも感銘を受けているという。
「私はガブリエルに、チームに対して言っているのと同じことを伝えている。順位は見ず、常にチェッカーフラッグだけを考えて、毎レース、地に足をつけてレースをするように、とね。そして彼はそれを実践している」とステラ代表は語った。
「私としては、オスカー同様、彼の才能はマシンに乗っている時の能力や実行力だけではないと考えている。ドライビングの観点から見ると、こういうドライバーがどれだけ謙虚で、チームと共に学習を進めるためにどれだけ吸収しようとするか分かるはずだ。決して傲慢ではないのだ」
「才能と努力、こうした価値観や姿勢が組み合わさった時、ドライバーとして成長できるのだと思う。ガブリエルもまた、急速に成長した一例だ」
「彼のF2シーズンがスタートした頃を考えてみると、必ずしも彼のドライビングだけが問題ではなく、マシンにも問題があった。しかし彼は諦めなかった。彼は今、一歩一歩前進している」