オルドビス紀の寒冷化はリングが原因だったのかも?
オルドビス紀は一般に、約4億8830万〜4億4370万年前までを指しますが、その中でも最後の時代を「ヒルナンシアン(Hirnantian)」と呼びます。
ヒルナンシアンは約4億4520万(±140万年)〜4億4380万年前(±150万年)のあたりです。
これまでの研究で、ヒルナンシアンは地球が急激に寒冷化した時代であり、今日から過去5億年間の中で最も寒かった時期の一つだったことがわかっています。
しかしヒルナンシアンに急な寒冷化が起きた理由はいまだによくわかっていません。
ところが、地球の赤道外縁にリングがあったとすると…?
ずばり、研究者らは「リングの存在が赤道上空の太陽光を遮ったことで気候変動を引き起こし、地球の寒冷化が発生した可能性がある」と指摘しました。
時代を照らし合わせても、ヒルナンシアンの寒冷化が起きたのは地球にリングができたと推測される約4億6600万年前より後のことです。
つまり、オルドビス紀の終わりに地球が急に冷えたのは、リングの存在が原因だったのかもしれません。
リングをまとった地球のイメージ図 / Credit: Monash University, Oliver Hull(2024)
このように地球にリングが存在したとすれば、オルドビス紀に隕石落下が急増したことも、赤道付近にクレーターが集中していたことも、急な寒冷化が起こった理由も説明することができます。
ただ本当にリングがあったとして、その後どのような運命を辿ったかは定かでありません。
研究者らは数百万〜数千万年かけて地球の赤道付近や大気圏に向けて落下した後、徐々に消滅していったのだろうと予想しています。
果たして、リングをまとった地球とはどのような姿だったのでしょうか?
妄想するだけでロマンをかき立てられますね。
参考文献
Earth may have had a ring system 466 million years ago
https://www.monash.edu/science/news-events/news/current/earth-may-have-had-a-ring-system-466-million-years-ago
Earth May Have Once Had a Ring That Slowly Fell From The Sky
https://www.sciencealert.com/earth-may-have-once-had-a-ring-that-slowly-fell-from-the-sky
499 Million Years Ago, Earth Potentially Had A Ring System That Impacted Its Climate
https://www.iflscience.com/499-million-years-ago-earth-potentially-had-a-ring-system-that-impacted-its-climate-75970
元論文
Evidence suggesting that earth had a ring in the Ordovician
https://doi.org/10.1016/j.epsl.2024.118991
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
ナゾロジー 編集部