WEC富士6時間レースでハイパーカークラス初の表彰台を獲得したBMWは、今や優勝を争えるだけのパフォーマンスを持っていると自信を深めた。
WEC富士はトヨタをはじめとしたLMH車両よりも、LMDh車両の方が相対的にパフォーマンスが高く、終盤の混乱もあって普段とは大きく異なる表彰台の顔ぶれとなった。
優勝したポルシェ6号車はシーズンを通じて高い安定感を見せているが、ドリス・ヴァントールやラファエル・マルチェッロ、マルコ・ヴィットマンが乗るBMWの15号車が2位、アルピーヌ36号車が3位と、この2台がWECハイパーカークラスでの初めての表彰台獲得となったのだ。
しかも終盤のセーフティカーに助けられたアルピーヌ36号車とは異なり、BMWの15号車は予選3番手を獲得した上、レースでも終始上位を走行しての2位だった。
チームWRTのヴァンサン・ボッセ代表は、BMWが富士で優勝を争えるペースを持っていたと語った。
「ポルシェと優勝争いをするペースはあったけれど、2位という結果には満足している」とボッセはmotorsport.comに語った。
「我々は今、混戦の中にいることを証明した。我々は戦えるんだ」
BMWにとっては予選3番手もベストを更新するものだったが、さらにその前のオースティン戦からその兆しはあったようだ。
前戦オースティンでは、レネ・ラストやロビン・フラインス、シェルドン・ヴァン・デル・リンデがドライブするBMWの20号車は13位に終わった。しかし終盤まで6番手を走行。1周ピットストップが遅れたことで1スティントで使えるエネルギー量をオーバーし、ドライブスルーペナルティを受けてしまったのだ。
だがボッセは、BMW MハイブリッドV8が過去に一度もレースやテストを行なったことのない富士で、このような結果を残せるかどうか確信が持てなかったと明らかにした。
「(オースティンと富士で)コース特性が違うのは明らかだが、予選と決勝で最高の結果を残し、進歩を続けていることを示すことができた」
「我々は細かいところの改善を続けている。チームやマシン、ドライバーのマシンに対する理解……そして性能調整も我々の助けになっている」
「今回は最速ではなかったが、上位に食い込むことができたし、自分たちの仕事をすることができた」
ボッセは、マルチェッロがドライブしていたレース中盤にキャデラック2号車と接触し、左リヤのホイールリムが破損する事態になっていなければ、WEC富士で優勝していた可能性もあると考えている。
マルチェッロが早めにピットインを強いられ、ヴァントールにバトンタッチしたことで、このレース最初のセーフティカー出動前のバーチャル・セーフティカー中にピットインしたアドバンテージが失われたからだ。
BMWはバーレーンで開催される2024年のWEC最終戦に勝ちに行くのかと尋ねられたボッセは、それについて明言しなかった。
「少なくともバーレーンには、自信を持って臨むつもりだ」
「我々が勝つというのは難しい。ハイパーカークラスの競争は非常に激しくなっているからね」
「一歩、また一歩と前進しているが、勝つためにはすべてが完璧でなければならない。今回の我々はそうではなかった。リムを壊してしまったからね」