ジャンプの黄金期ともいわれる1980年~90年代にヒットしたマンガ作品は、アニメ化においても注目されてきました。なかには、最終回がアニメオリジナルで描かれた作品や、原作の最終回が描かれずアニメが完結した作品もあります。
『聖闘士星矢』アニメオリジナルの「アスガルド編」が収録された、『聖闘士星矢 DVD-BOX 4 キグナスBOX』DVD(バンダイビジュアル)
【画像】え、大事なところは布? こちらは”ムスコ”が心配な星矢の姿です(4枚)
アニメ派、マンガ派にファンの好み分かれる
1980年代~90年代の「週刊少年ジャンプ」を支えたマンガには、アニメ化されて社会的ブームを巻き起こした作品が数多くあります。しかしその作品のなかには、原作とアニメで異なる最終回が描かれることもありました。
例えば『聖闘士星矢』(作:車田正美)です。ギリシャ神話がモチーフの本作は、少年「星矢」をはじめ、戦いの女神「アテナ」に仕える「聖闘士」が、地球の愛と平和を守るため戦う姿が描かれました。連載開始から35年以上経過した2023年にも、ハリウッドにいて実写映画『聖闘士星矢 The Beginning』が公開されるなど、いまもなお高い人気を誇る作品です。
1986年に放送されたアニメ版では「アスガルド編」などのオリジナルストーリーが追加され、最終回は聖闘士と「海皇ポセイドン」との戦いを描いた「海皇ポセイドン編」で幕を閉じます。物語は完結したものの、原作の最終章「冥王ハーデス編」が残されたまま放送が終了してしまいました。
その続きとなる「冥王ハーデス編」は、聖闘士たちと最大の敵「ハーデス」との最終決戦で、原作でも特に人気の高いストーリーです。そのためアニメ化を期待する声も多く、連載終了後の2003年にOVAシリーズとして発売されています。
続いて原作とアニメで重要人物の結末やラストの描かれ方が異なっていたのが、1990年から連載された『幽☆遊☆白書』(作:冨樫義博)です。累計発行部数は5000万部を超える本作は、不慮の事故で命を落とした不良少年「浦飯幽助」が生き返るために、さまざまな妖怪と戦います。
そのなかで幽助の師匠である「幻海」は、原作とアニメで異なる運命を辿りました。原作では、エピローグにて幻海が死亡したことが明かされ、幽助や仲間たちが墓参りをしたあと彼女の遺産相続が書かれた遺言状が公開されるという結末を迎えます。
しかしアニメでは最後まで幻海が生きており、魔界にいる幽助を除いた主要メンバーに、直接遺産相続の話をする、という流れでした。幻海は作中屈指の人気キャラでもあったため「幻海ばあさんが生きてるアニメ版のほうが推せる」という声もあがっています。
また、幽助とヒロイン「雪村螢子」の関係性が、アニメのラストではロマンチックに描かれました。
原作の最終回では、メインキャラが海でたわむれる場面で、螢子が幽助を巻き込んで海に飛び込むという描写があります。ところがアニメの最終回では、それまで魔界にいた幽助が帰還して一同と再会し、螢子が抱きついてキスするというシーンが追加されました。ファンの間では「キスされた幽助の驚いた顔が印象的だった」「綺麗にまとまったのでは」という声があがるなど、好評だったようです。
山王戦が描かれずに終わってしまい、当時のファンは残念がっていた。画像は『SLAM DUNK THE MOVIE』(東映)
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最後の戦いがアニメ版では描かれず…?
原作マンガとアニメの異なる結末は珍しくないものの、唐突なアニメの最終回で賛否分かれたのが、1990年から連載されたバスケットボールマンガの金字塔『SLAM DUNK』(作:井上雄彦)でした。本作は不良の高校生「桜木花道」が、ひょんなことからバスケットというスポーツに魅了されていき、「湘北高校バスケ部」の仲間とともに成長していく物語です。
作品の影響からバスケットボールを始める少年少女が続出するほどの人気ぶりでしたが、原作とアニメではストーリーの進み具合や最後の対戦相手が大きく異なりました。
マンガでは、インターハイ全国大会2回戦の「山王工業」戦まで描かれましたが、アニメでは全国大会前の神奈川県予選で湘北高校に敗れた翔陽・陵南混合チームとの練習試合を行うというオリジナルストーリーで幕を閉じます。
アニメの最終回は各強豪校の選手が集結しており見ごたえがありますが、山王工業戦はファンの人気も高く、感動シーンの多い名勝負です。そのため、当時は「えっここで終わっちゃうの!?」「山王戦のラストの攻防がどのように映像化されるのか見たかった」などと残念がる声も聞かれました。
そして長らくアニメ化が望まれた山王工業戦は、2022年に映画『THE FIRST SLAM DUNK』で描かれました。本作は国内外でブームを巻き起こし、2023年の映画興行収入はトップの158億円以上を記録しています。