ジブリ作品といえば、作中に、別タイトルのキャラが登場する「隠れジブリ」を探すことが、ファンの間で楽しみのひとつとなっています。しかし『となりのトトロ』に関しては、作品の垣根をこえて、まったく別の作品にまで登場しているのです。



『となりのトトロ(1988)』 (C)1988 Studio Ghibli (C)2005-2023 STUDIO GHIBLI Inc.

【画像】いくつ見つけた? 実は出演していた「ジブリ」キャラ(6枚)

『トトロ』から見えた宮崎駿監督の交友関係

 スタジオジブリ作品は、日本のみならず世界中にファンから愛されているコンテンツです。それぞれの作品に密かに登場している他作品のキャラクター、いわゆる「隠れジブリ」を見つけるという楽しみ方も知られています。

 たとえば『千と千尋の神隠し』に登場する坊の部屋のクッションには『魔女の宅急便』に登場する黒猫のジジが描かれており、『天空の城ラピュタ』に登場する飛行船には『となりのトトロ』のトトロのようなデザインがありました。

 特にトトロはスタジオジブリの枠を飛び越して、ジブリ作品とは縁遠そうな別作品にまで登場しているようです。本記事では、トトロが登場した作品とともに、その登場に至るまでの経緯についても見てみましょう。

 まずはピクサー・アニメーション・スタジオが制作したアニメーション映画『トイ・ストーリー3』です。「トイ・ストーリー」シリーズ3作目となる本作は、主人公の少年、アンディの大学生時代が舞台となっていました。

 トトロにそっくりなぬいぐるみは本作のメインキャラクターの少女、ボニーのおもちゃとして登場しています。言葉を発する場面はなくウッディとの直接的なからみもありませんが、トトロの優しい空気感がしっかり再現されていました。

 実は、このコラボ実現の背景には、『トイ・ストーリー』シリーズの生みの親であるジョン・ラセター氏と宮崎駿監督の長年にわたる関係性がありました。ジブリで『となりのトトロ』を制作中に、ラセター氏がジブリを訪れ、それをきっかけに少しずつ友情を育んでいたようです。

 トトロ出演の依頼をした際にはおもちゃとしての出演を承諾してもらい、このコラボが実現しました。『トイ・ストーリー3』のエンドロールにはしっかりと、宮崎監督、鈴木敏夫さん、高畑勲さんの名前がスペシャルサンクスとして紹介されており、スタジオジブリへの多大なる敬意が感じられます。



『シン・エヴァンゲリオン劇場版』ポスタービジュアル (C)khara,inc.

 そして、トトロは国内の作品にもこっそり登場していました。その作品とは『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(制作:株式会社カラー)です。おそらく初見で気付けたファンは少なく、大多数の人はエンドロールの「画面協力 株式会社スタジオジブリ(となりのトトロ)」というに表記を見て、驚いたことでしょう。

 そこからネットやSNSは盛りあがり、スタジオカラー公式SNSからのヒントが発表されるなど、作中でのトトロ探しが始まりました。結果、第3村の図書館に貼ってある、左側のポスターに、トトロが描かれていたのです。

 庵野秀明監督は、もともと宮崎駿監督のもとで『風の谷のナウシカ』の制作に
携わっており、宮崎監督とは師弟関係にありました。ジブリ作品の『風立ちぬ』では、主人公の・堀越二郎を庵野監督が務めるなど、たびたび関係性を示しています。

 長らく続いたエヴァンゲリオンシリーズの最終章に、師匠である宮崎監督からの協力という姿勢は、応援や労いのようなメッセージが、込められているようにも感じます。ファンからすると、さまざまな妄想が膨らむコラボレーションといえそうです。