『となりのトトロ』の名脇役サツキとメイのお父さんは、家事と育児をこなしながら仕事を掛け持つ一家の大黒柱です。昭和の時代にもかかわらず、既に在宅ワークで副業をしていました。時代を先取りしたような働き方で、どのような仕事をしていたのでしょうか?
お父さんと楽しそうに自転車に乗るサツキとメイのビジュアル (C)1988 Studio Ghibli
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中国語を操るインテリ考古学者!
ジブリ作品のなかでも未だ根強い人気を誇る『となりのトトロ』は、サツキとメイのお父さんは、入院中の奥さんに代わって家事と育児を行いつつ仕事もこなしていたようです。世のお母さんたちが憧れてしまうような、サツキとメイのお父さんの人物像に迫ります。
まずお父さんの名前は草壁タツオといい、年齢は32歳。職業は考古学者と大学の非常勤講師、さらには中国語の翻訳の仕事をしています。翻訳の仕事は生計のために行い、本業は考古学者のようです。
東京の大学で講師を務めるために週2回ほど外出する以外は自宅で考古学の研究や、中国語の翻訳を行う在宅ワーカーです。時代の最先端といえる仕事をしていました。
作中でのお父さんは縄文時代に農耕があったという仮説を立てるために、常々研究に励んでいる描写が。書斎に山積みされた本のなかには、縄文時代に関連したタイトルが見受けられます。夜な夜な研究に没頭し過ぎたせいか、サツキのお弁当の日を忘れてしまうという一幕も。職業柄、何かを考え出したら止まらなくなるのでしょう。
お母さんの静養のために田舎へ引っ越したところから考えると、お父さんはフルタイムの仕事に就くことが難しかったと考えられます。大学の非常勤講師の収入だけでは家計を支えられないため、翻訳の仕事をしていたのかもしれません。
トトロと池の畔で遊ぶサツキとメイのキービジュアル (C)1988 Studio Ghibli
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お父さんの声は著名コピーライター!
そんなお父さんは娘思いの優しい性格であることが、サツキとメイの会話から伺える場面も。子供にしか視認できないはずのトトロやマックロクロスケですが、娘たちが「トトロに会った」と発言したところ、お父さんはまったく否定しませんでした。それどころか「トトロに会えたのはとても幸運なことなんだよ」と、むしろ好奇心をあおるような言葉を返しています。大人になっても子供目線に沿った考えを持ち合わせる、優しい人柄だと感じられますね。
ちなみにお父さんの声を務めたのは有名コピーライターの糸井重里さん。同氏はもともと『となりのトトロ』のコピーライティングを担当しており、本来は他の人がお父さんの声を演じる予定だったそうです。しかし本職の声優ではない糸井さんの声だからこそ、どこか頼りないけど憎めない愛される父親像に仕上がったのでしょう。