無線での悪態規制に反対! ノリス「そんなことしたら、F1の”生々しさ”を失ってしまう」

 FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長は、F1ドライバーが無線で悪態をつくシーンが放送されるのを避けるべく対応を求めているが、ランド・ノリス(マクラーレン)は「ドライバーの生々しさと彼らの考えや感情」を失うことになると語った。

 motorsport.comの独占インタビューに応じたスレイエム会長は、国際映像で放送される汚い言葉を最小限に抑えるようフォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)に要請したことを明らかにした。

 これは 「我々のスポーツであるモータースポーツとラップミュージックを区別するため」だと彼は語り、今週末のシンガポールGPを前に、この問題をドライバーたちに投げかけた。

 しかし、ノリスはmotorsport.comの質問に対し、もし悪態を含むメッセージが放送されなければ、F1は「ドライバーの生々しさ、彼らの考え、彼らの感情など」を失うことになると語った。

「僕はそういうもの(悪態)を聞いてクールだと思うし、興奮するよ」

「みんなが使っているのは優しいソフトな言葉だけじゃない。他のスポーツでもそうだと思うし、それが聞きたいから観に行くみたいなところがあると思う」

 ノリスはまた、F1ドライバーたちがいかに 「ストレスやプレッシャー、戦い、大きなクラッシュの渦中にいる男たち」であるかを指摘した。

「僕たちがそれをやるよりも、彼らがそう言う方がずっと簡単なんだ。僕たちはレースをすることに心血を注いでいるし、全力を尽くしているからね」

「(レース中)僕たちの心拍数はとても高い。愛情を注いでいるんだ。もちろん、その裏側では悪口も飛び交うだろうけど、それは僕らが努力しているから、ベストを尽くしたいと思っているからであり、物事がうまくいかないとやりきれない気持ちになるんだ」

 レッドブルのマックス・フェルスタッペンは木曜日のFIA記者会見に出席。序盤にわざと悪態をつき、司会のトム・クラークソンが謝罪するはめになった。

 フェルスタッペンは「世界は少し変わりつつあると思うが、それはそういうのを放送しないところから始めるべきだと思う」と語った。

「あるいは、人々にそれを聞く選択肢を与えないことだ。ドライバーに禁止令を出すよりも、その方がずっと助けになる」

「だって例えばFワードを言わなかったとしても、『クルマが機能しない。クルマがクソだ(the car is Effed/Fワードの伏せ字的な表現)』と言って、それから『言葉遣いが悪くてすみません』ということになるんだ」

「でもさ、僕たちは5歳か6歳の子どもか何かか? たとえ5歳児や6歳児が見ていたとしても、いずれは悪態をつくようになるだろう」

「親が許してくれなくても、大きくなれば友達と悪口を言い合うようになる。これ(悪態の禁止)は何も変えるものではない」

 F1チームの無線メッセージにおける悪態は、すでにFOMのエディターによって検閲されており、放送を遅らせて放送内容をフィルタリングしたり、汚い言葉を規制音でカバーしたりしている。

 そのため悪態が放送されるのは、一種のエラーの結果だと理解されている。