POINT 3|スノーヘルメットの構造とパーツの名称
スノーヘルメットの頭部をカバーする部分は大きく分けて外側のシェルと内側のライナーから成り立っている。直接ダメージを受けるシェルには内部を守るために硬い素材が使われ、ライナーには衝撃を和らげるためにクッションのような素材が使われる。
ヘルメットはシェルの結合方法によって構造が3つに分けられる。「ハードシェル構造」と「インモールド構造」、そして両者を合わせた「ハイブリッド構造」だ。どれが良い悪いというものではなく、構造の違いによって特徴が異なる。自分の志向に合わせてチョイスするのがよいだろう。
ハードシェル構造
シェルとライナー(衝撃を緩衝させる素材)を別々に製造し、接着剤で貼り付けるというもの。アウターに高強度な素材を用いた場合など、少々の衝撃ではシェル自体が凹んだり亀裂が入ったりしない。頑丈で耐久性が高く、より高い安全性を確保できる。全体的にスリムに見えるという利点もある。
インモールド構造
シェルとライナーを同じ鋳型にいれて成形するもの。接着剤を使わないので、それぞれが剥がれにくく、品質も高くなる。アウターに用いる素材も軽いため、全体的に軽量化につながる。軽さと強度を併せ持つシェル構造。飛んだりテクニカルな動きをするために軽さを重視するパークスキーヤー・スノーボーダーに人気が高い。
ハイブリッド構造
ハイブリッド構造はハードシェル構造とインモールド構造の両方を持つ構造。ベースはインモールドを採用し、後頭部や頭頂部にハードシェルを被せて強度をアップ。2つの構造を組み合わせることによって衝撃耐性はもちろんのこと、適度な軽さとハードシェルの耐久性も併せ持つ一挙両得タイプとでもいえよう。
インナー
インナーの役割は保温機能と吸汗機能、そしてフィット感の向上だ。各メーカーで保温性と透湿性に優れるファブリックを用いたり、抗菌防臭機能を持たせたりなど細かい改良が施されている。取り外し可能なタイプがほとんどだ。
ストラップ&バックル
ヘルメットが脱げないようにするストラップはバックルの違いが大きい。サイドリリースバックルと磁石式のバックルだ。前者は使い勝手は良いが、グローブをしているとやや扱いづらい。近年は高品質モデルになるほど片手で扱える磁石式バックルが多い傾向にある。
イヤーパッド
ハイシーズンには耳が覆われていることで暖かく、フィット感も増すことでイヤーパッドは利点がある。一方で、スプリングシーズンやバックカントリーでハイクしているときに蒸れたり、暑いと感じることもある。よってイヤーパッドは着脱式が便利。取り外して洗っておけば、汗や匂いもとれて常に清潔に使うことができる。
ベンチレーション
頭部の蒸れを解消するためのベンチレーションは必須。換気力はもちろん、上部で通気口を開閉できるかどうかも重要なポイント。また、ゴーグルが曇らないよう、ヘルメット内の湿気を上手く逃がせるかというマッチングも重要になってくる。
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POINT 4|多方向衝撃緩衝システムMIPS
滑走中の転倒における脳へのダメージは、じつは衝撃の威力だけでなく斜めから加わる回転エネルギーの影響も大きい。それを軽減する画期的な仕組みが、多方向衝撃緩衝システムの「MIPS(ミップス)」だ。
一般のヘルメットは正面から受ける衝撃を吸収するようにデザインされている。しかし、インナーに仕込まれたMIPSは斜めから受ける衝撃エネルギーをも受けとめ、緩和させることができる。シェルとインナーが別々に動くことで回転エネルギーをシェル側で受け止め、インナーは動かずに脳の振動を防ぐことができる、というわけだ。
文字や写真だけで想像するのはちょっと難しいので、MIPSの理解には、こちらのGIROによる動画を見ると手っ取り早い。