MotoGP第13戦サンマリノGPで勝利したマルク・マルケス(グレシーニ)に浴びせられたブーイングについて、他のMotoGPライダー達はリスペクトを欠いていると批判した。
ミサノ・サーキットで開催されたサンマリノGP決勝では、マルケスがレース中に雨が一瞬強くなるという難しいコンディションを上手く活かしてライバルを抜き去りトップを奪い、そのまま逃げ切って勝利するというレースが展開された。
アラゴンGPから2連勝を収め、より復活を印象付けたマルケス。しかし表彰式の最中には、彼に一部の観客からブーイングが浴びせられてしまった。
過去にマルケスとバレンティーノ・ロッシがコース内外で激しく争ったことから、一部のイタリア人ファンの間でマルケスが批判の的になってしまったのだ。
既にロッシはMotoGPを引退し今は四輪レースへと活動の場を移しているが、今でもこうしたマルケスに対してのブーイングは残っている。
来年、マルケスとドゥカティのファクトリーチームでチームメイトとなるフランチェスコ・バニャイヤは、こうしたマルケスに対するブーイングは「失礼なモノ」だと不満を示している。
「フランキー(フランコ・モルビデリ/プラマック)が2、3週間前に言っていたように、憎みたい人というのは常にヘイトを向けてくるものだ。僕もそうだと思う」
バニャイヤはそう語る。
「本当に失礼なことだと思うよ。僕らは毎回最大限努力しているんだ。(ブーイングする理由が)理解できない」
「いくつかのインタビューで、こうした事はイタリアでだけ起こると読んだことがあるけど、それは事実じゃない。バルセロナで僕が勝ったときにも(ブーイングが)あったからね」
「ここに居ると、可能な限りベストな結果を得るため、より良くしていくために全力を尽くしていることが分かるんだ。だからブーイングは、失礼極まりないことだ」
「でも正直に言うと、そういう事は様々なスポーツで発生していることだ。僕らのスポーツがよりクリーンになれば、改善もあるかもしれないね。ただ、止めるのは難しいだろう」
なおサンマリノGPの表彰式では、バニャイヤがマルケスへのブーイングを鎮めようとする場面もあった。
マルケスは来年のチームメイトのこうした気遣いを称賛しつつ、ライダー側も観客が不適切な行為を減らすためにできることがあると語った。
「(ブーイングは)これまでもあったことだ」とマルケスは言う。
「ファンが誰かひとりのライダーを追いかけたり応援したりするというのはあることだ。そしてひとりのライダーを追いかけたり応援したりするなら、他のライダーはどうでもいいということになるだろう」
「他のライダーに興味がないなら、ブーイングをする必要は無いと思う」
「ただそれと同時に、ペッコには感謝を伝えたい。表彰式のとき、彼は(ブーイングを)落ち着かせようとしていたのを、映像で見せて貰ったんだ。こういうことはライダー達が止められるモノで、一般の人やジャーナリストが止められるものじゃない」
「僕は大丈夫だよ。(表彰式も)楽しんでいた。あの時の僕のリアクションがちょっと控えめだった理由も分かっている。地元のライダーであるペッコと(エネア)バスティアニーニにあの瞬間を譲っただけだよ」
また今シーズンのタイトル争いを繰り広げているホルヘ・マルティン(プラマック)は、大きなリスクを負って走っているライダーへのブーイングは不適切なものだと批判している。
「僕らは100%全力を尽くしているんだ」
「僕たちの人生はギャンブルだよ。だってここで死ぬかもしれないんだ。僕としてはもう少し敬意を払うべきだと思うし、こうしたブーイングは意味のないものだ」