Schneider Kreuznach APO-DIGITAR XL 35mm F5.6
シュナイダーはすでにビューカメラ用レンズから撤退してしまったが、この「Schneider Kreuznach APO-DIGITAR XL 35mm F5.6」はかなり評判が良く、一時は定番となっていたほど有名な超広角レンズである。ちなみに645フルフレーム機で使用する場合には135判換算22mm相当の画角となる。
歪曲収差も少ない上に90mmのイメージサークルを持っているため、645フルフレーム(53.9×40.4mm)センサーで縦に±16mm、横に±13mmのシフトが可能だ(理論値)。4433センサーだと縦±23mm、横±20mmとなりもっと自由度が高くなる。
シュナイダーにはさらに広角の「APO-DIGITAR XL 24mm F5.6」も存在するが、こちらは48×36センサー用でイメージサークル自体が645フルフレームをカバーしていない。
超広角レンズは周辺減光が大きいため、写真の光量落ちを防ぐ「センターフィルター(中央部分にNDがかかった補正フィルター)」がシュナイダー純正品としてラインナップされていた。現在では入手困難だが、今回一緒にお借りすることができた。
蛇足だがこのレンズ、Phase One IQ280などのダルサ製80MPセンサーでは深刻な不具合が発生するらしく(当時の海外掲示板情報)デジタルバックとの相性など、しっかりリサーチする必要がある。現在でもそれなりに高価なレンズでもあるし、まずはプロショップのレンタルで試すことをお勧めしたい。
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風景を撮る
試写を兼ねての風景撮影である。使用したデジタルバックは私物のPhase One IQ260。
広角レンズということもあり、ピントグラス上で像がハッキリ見えるのは中央だけで、しっかりとフレーミングを確認するのは難しい。また超広角ゆえ繊細なピント合わせが必要になるが、10倍のルーペを使うことで何とかピントを掴むことができた。
嬉しい誤算だったのは、使用したデジタルバックIQ260のライブビュー機能が実用的だったこと。フェーズワンIQシリーズでは、CCD搭載モデルであっても単体でのライブビューが可能となっている。色の判別もできないほど(知らない人なら壊れていると疑うほど)荒いプレビュー画面ではあるが、この薄暗い環境での構図確認と、拡大表示でのピント合わせには問題なく活用できた。といってもピント合わせに苦しむのは同様である。
もちろんCMOS搭載のデジタルバックを使用する場合は、ピントグラスは不要になるだろう。
肝心の写りはというと、もう流石と言うしかない。135判デジタルカメラが成熟する以前には、この過剰なクオリティを求められた時代が確かにあったのだと実感する。