COLAVOLEX DB21 PRO  Vol.20  [中判カメラANTHOLOGY]

建築物をスティッチ撮影

COLAVOLEXをお供に埼玉県狭山市へ。緑豊かな稲荷山公園内にある狭山市立博物館さんに撮影協力をいただいた。「COLAVOLEX DB21 PRO」が最も力を発揮するであろう建築物の撮影である。


立地的な制限や、画面外で改装工事が始まっていたこともあり、写真としては撮り直したい気持ちもあるのだが、あくまで作例ということでご覧いただきたい。

APO-DIGITAR XL 35mm F5.6は良いレンズだが、普通に使っては一眼レフで撮影するのと何ら変わりがない。ビューカメラの特性を活かし、セオリー通りにカメラの垂直を維持したままシフト操作(ライズ)で全体が写るようフレーミングする。

※なお、晴天下ではIQ260のライブビューは何も見えず機能しなかった。

左が一眼レフに35mm、右がライズをかけたもの(デジタルバックは同じ)

これでパース(遠近感)を補正することができたが、引きが取れなかった関係で画角的に35mmでは足りず、ビューカメラの構造を活かして「スティッチ」前提で撮影を行った。

デジタルバックを縦位置に装着し、後枠を横にスライドさせながら5枚撮影(気分で5枚も撮影したが3枚で十分だった)。ライズをかけたまま左右に20mmずつ動かしたため、イメージサークルがはっきりと認識できる。


こうして撮影したデータを合成するわけだが、Capture One Pro 22から搭載された自動スティッチ機能が活躍してくれる。とにかく簡単というしかない超便利機能である。

全体の色ムラやイメージサークル周辺部のマゼンタ被りに関しては、撮影時にキャリブレーション用のデータを別途撮影しておくことで、LCCと呼ばれる手法で補正をかけることができる(今回は手動で色調整した)。

そうして合成したものから、使える部分を切り出した完成形が下の写真である。

 
  


Schneider APO-DIGITAR XL 35mm F5.6 / Phase One IQ260 / ISO 50 1/30 s f/16
センターフィルター使用・5枚スティッチから切り出し
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常設展示スペース

撮影時には企画展として「さかなクンのギョ苦楽展~さかなクンの世界とギョギョ魚水族館~」が開催されており、夏休み終盤ということもあって子ども連れの来館者が目立った(2024年10月14日まで開催)。

せっかくなので博物館内の常設展示スペースも撮影。かつてこの地に生息していた「アケボノゾウ」の骨格標本が展示されている。狭山市での風土や歴史が、出土品を通して感じられる良い常設展示である。


こちらもスティッチング用で、上下に23mm、左右に15mm動かしながら計6回撮影したものを合成。当然ワンショットの画角より随分広くなる。

また、このカットはF16で15秒間の露光となった。

長秒露光が苦手なダルサCCDだが、IQ260から実装された「長時間露光モード」を使用することで(べース感度がISO 140になる)15秒間の露光を繰り返してもノイズレスな美しいデータが得られた。

 
  


Schneider APO-DIGITAR XL 35mm F5.6 / Phase One IQ260 / ISO 140 15 s f/16
センターフィルター使用・6枚スティッチ

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