まとめ
実測値で3.15kg(デジタルバック用アダプター込)とモノレールタイプとしては小型軽量が売りの、建築写真のために生まれたこのカメラ。手軽に高画質が実現したこの2024年に、業務での需要があるかと言われるとかなり厳しい。確かに写りは良いが、撮影と後処理に手間がかかり過ぎるのだ。
今回は先輩カメラマンさんに実機をお借りしたのだが、やはり長らく仕事では使用していないとのことだった。135判フルサイズ機の進化により、広めに撮影しパソコン上でパース(遠近感)を編集することで事足りてしまう。Web媒体であればまず判別はつかないだろう。
しかし、業務需要がないということは、趣味で使う層が安く購入できるということでもある。撮影時間を短くしたいとか、費用対効果などを考えずに楽しむ世界線は確実にある。
何しろ一級品の画質を持つデジタルバックを用いて、普通のカメラでは撮れない画が撮れてしまうのだ。最新のレンズは軽く100万円を超えるビューカメラの世界だが、趣味ならば旧型のレンズでも十分に写りを楽しむことができる。手間をかけた分だけしっかりと応えてくれる道具こそ趣味の醍醐味ではないか。
建築写真だけでなく風景写真にも同じくらい適性のあるカメラである。他の広角専用の小型カメラ(ALPA、CAMBO等)と違いヘリコイドの心配をせず、その辺で買ったシノゴ用のレンズがそのまま使えてしまうのが素晴らしい。また、広角だけでなく150mmくらいまでなら色々なレンズが実用できる。延長レールや蛇腹を交換することでポートレートやマクロ撮影まで、使い方次第で実現可能だろう。
使い方はシノゴとまったく同じ。前述のようにレンズボードはトヨフィールドと同一規格で、リンホフボードへの変換アダプターも存在するのでレンズも選び放題。必要なパーツは現在でも新品で入手できる。
あとは自分で試すのみ、と言ったところだろうか。